スウェーデン政治空白、越年へ 反移民政党伸び、連立協議難航
春に総選挙なら、欧州議会選に影響も

2018/12/29 17:06
保存
共有
印刷
その他

【ロンドン=中島裕介】9月の総選挙後、連立協議がまとまらず新政権の成立が遅れているスウェーデン議会は、新政権づくりを2019年に持ち越すことを決めた。反移民を掲げる極右政党の台頭で中道の左右両派が多数派工作に苦戦し、これまでに2回議会で首相選任の提案が否決された。他の欧州諸国と同様、移民・難民への反発が政治混乱を招き、再選挙の可能性も高まってきた。

極右政党の台頭でスウェーデンの政治が揺らいでいる(写真はロイター)

ロベーン首相が提出した政権案は議会で否決された=ロイター

スウェーデン議会は14日、第1党・社会民主労働党(社民党)のロベーン党首(現首相)が提出した中道左派グループによる少数連立の政権案を否決した。11月には、第2党・穏健党のクリステルソン党首を首相とする中道右派政権の案も否決されている。

同国憲法の規定では、議会の議長が新政権をつくれそうな党首に組閣を命じるが、議会で4回新政権案が否決されると総選挙になる。ただルールはあるとはいえ「憲政史上起きたことがない事態」(同国政府筋)。ノーレン議長は2回目の否決後、次の組閣の指名が1月になることを表明したうえで「第1党にも第2党にも、まだ政権をつくるチャンスがある」と総選挙の回避を訴えた。

この政治空白は9月の議会選で「反移民」を掲げる極右政党「スウェーデン民主党」が躍進したことが引き金だ。選挙では与党・社民党と野党第1党・穏健党がともに票を落とし、中道の左右両グループとも議席は4割程度にとどまった。残りの2割弱が極右の民主党の議席だ。このため政権づくりには左右両派が手を組むか、民主党の協力が必要な状況になった。

だが移民に寛容な政策などで知られるスウェーデンは、伝統的に極右の中枢政治への接近を避けてきた。主要政党はネオナチの流れをくむ民主党との連携には否定的だ。一方で左右両派の対立も根深く、簡単に手を組める状況ではない。もし再選挙に踏み切っても、大きな構図が変わらなければ政治空白が解消する保証はない。

英紙デーリー・テレグラフによれば、19年1月中にあと2回の新政権案が採決される見通し。そこで政権づくりに失敗すれば4月までに総選挙が行われることになる。5月の欧州議会選間近にスウェーデンの総選挙が行われる可能性もあり、同国の政局が欧州政治全体に影響を及ぼす展開もあり得そうだ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]