2019年5月26日(日)

牛乳値上がりの可能性 19年春、原料の乳価上昇で

2018/12/28 17:15
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牛乳に使う生乳の価格(飲用乳価)が4年ぶりの値上げで決着した。上げ幅は1キロ4円。2019年4月から実施する。関東や北海道の酪農団体が大手乳業に販売する価格を交渉。天候不順で生乳の生産が減ったほか、離農者が相次ぐ中、乳価を引き上げなければ安定供給に影響が出るとの主張が通った。乳業側は人件費や物流費などの上昇に直面しており、春以降、牛乳の小売価格は値上がりする可能性が高そうだ。

酪農家戸数は減少を続けピーク時の1割に満たないほどだ

酪農家戸数は減少を続けピーク時の1割に満たないほどだ

関東生乳販売農業協同組合連合会(東京・文京)などが明治など大手乳業と合意した。2019年度の飲用乳価の値上げ幅は1キロ(1リットル)あたり4円(3~4%)ほどで、120円前後になるとみられる。

関東生乳販連などの酪農団体は5円以上の値上げを求めた。一方、乳業各社は人手不足に伴う人件費や物流費、原料費の上昇、さらに9月の北海道地震の影響で発生した製品廃棄などの被害で業績は苦しい。来年10月の消費再増税も控え、「このタイミングでの乳価引き上げには抵抗感が強かった」(大手乳業)。

それでも今回大幅値上げを受け入れたのは、値上げに応じなければ国産の牛乳や乳製品が生産できなくなるとの危機感を受け止めたからだ。

酪農家戸数は減り続けている。農林水産省によると、18年2月時点で全国の酪農家戸数は1万5700戸。10年前から4割ほど減り、ピークの1960年代の1割に満たない水準だ。加茂牧場(千葉県八千代市)加茂太郎代表は「現状の乳価では牛乳を搾るだけでは生計をたてることすら難しい」と語る。肉牛を売るなど酪農とは別の収入を得て経営を成り立たせている酪農家がほとんどだ。

さらにここ1~2年はふん尿処理施設や搾乳ロボットなど必要な設備の更新が重なる時期。後継者不足にも直面しており、数千万円規模の設備投資をして酪農を続ける価値があるか悩む酪農家は多い。「今回の乳価の動向次第では大規模な離農が発生する」(関東生乳販連)との懸念も強かった。

乳価引き上げで、乳業各社は生乳から牛乳1リットルの紙パックを1本作るのに単純計算でコストが4円増える。人件費や物流費が高騰するほか、日本製紙が19年4月から牛乳パックの7%値上げを発表するなど、生産コストが上がっている。

大手乳業による製品値上げは、17年に明治が「おいしい牛乳」の内容量改定に伴い実質値上げをしたのを除けば、15年以来なかった。これまでの生産コスト増を春以降製品価格に転嫁する可能性は高く「最終的な製品の値上げは10円以上になるのでは」(指定団体)との見方もある。

近年、牛乳の消費量は増加傾向にある。農水省によると1年間の1人当たりの17年度の牛乳消費量は前年度比1.3%増の24.4リットル。3年連続で増加した。健康効果を期待し高齢者を中心に需要が伸びているという。

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