2019年3月24日(日)

インド、ECの外資規制を強化 零細小売りの保護狙う
「価格支配」販売を禁止 総選挙控え大票田に配慮

南西ア・オセアニア
アジアBiz
2018/12/28 17:08
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【ニューデリー=黒沼勇史】インド政府が電子商取引(EC)サイトの外資規制を強化する。2019年2月から、米アマゾン・ドット・コムなどによる専売製品や子会社製品の販売を規制して「価格支配」を禁じ、7千万人超の中小零細の小売業者を保護する。19年春に予定する総選挙に向け、モディ政権が小売業者の票の取り込みに動いているもようだ。

インド政府はECサイトの値下げ販売に顧客を奪われる中小零細小売業者の保護を強化する(フリップカートのサイト画面)

商工省は26日、ECの外資規制の通達を更新した。主眼はネット通販の規制にあり、通販サイトは(1)出資先の製品を売ってはならない(2)納入業者と専売契約を結んではならない――という項目を加えた。「商品・サービス価格に直接的、間接的に影響を与えてはならず、公平な競争環境を保つ」とも明記した。

インドのネット通販市場の規模は196億ドル(約2兆2千億円)とされ、米アマゾンと、米ウォルマート傘下のフリップカートの2社合計で6割強のシェアを握る。現地紙によると、市場の売上高の過半がスマートフォン(スマホ)で、フリップカートは中国スマホ大手の小米(シャオミ)やOPPO(オッポ)と独占契約を結んでいる。今回の規制強化で、こうした製品の廉価販売が難しくなる。

インドは、スーパーマーケットやコンビニ、家電量販店のような複数ブランドの商品を扱う総合小売業への外資参入を禁じている。ECの方が規制は緩く、ウォルマートは5月、インド企業に対する買収で過去最高額となる160億ドルでフリップカートを買収した。

ウォルマートのフリップカート買収に反対した全インド小売業連合のカンデルワル専務理事は「長い戦いの末、ようやく大きな達成を得た」と述べ、ネット通販の価格競争力をそぎ落とす今回の規制強化を歓迎した。

インドが外資参入をECなどに限定し、総合小売業を除外しているのは、競争力で劣る家族経営の零細小売業者が7千万人超と影響力が大きいため。改革派のシン前政権は外資開放を目指したが、14年発足のモディ現政権は同年の総選挙前からこれを認めない方針を掲げてきた。「モディ氏が総合小売業を外資に開放することは今後もない」(ラジーブ・カー元商務次官)との見方が多い。

12月に開票した5州の地方選で、モディ首相の与党インド人民党(BJP)は大敗した。家族や従業員を含め「小売り票」は1億を超えるとされる。今回の規制強化は、19年4~5月の総選挙に向けた大衆迎合策の色が濃い。

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