八ツ場ダム観光、年16万人 国と地元の対立超えて
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2019/1/13 17:43
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 群馬県長野原町の八ツ場(やんば)ダムに多くの観光客が集まっている。その数、年間約16万人。「首都圏で唯一、建設中のダムが見られる」が売りだ。建設をめぐってかつて対立した国と地元が協力し、観光地化に取り組む。複雑な曲折を経た巨大インフラは2019年度に完成する。(定方美緒)

建設中の八ツ場ダムを地元ガイドが夜に案内するツアーに参加した人たち(2018年12月、群馬県長野原町)

建設中の八ツ場ダムを地元ガイドが夜に案内するツアーに参加した人たち(2018年12月、群馬県長野原町)

「大臣が急にやってきて中止と言った」「ダムができて栄えた地域はないというのが正直なところです」。「道の駅」八ツ場ふるさと館の社長、篠原茂さん(68)がユーモアを交えてダムと町の歴史、実情を説明する。

18年12月上旬に開催された1時間のナイトツアー。参加者はライトに浮かぶクレーンやコンクリートの擁壁のスケールに息をのみ、歓声を上げた。平日にもかかわらず、40人の定員を大幅に上回る約100人が参加。駐車場の制限から25人は断らざるを得なかった。

埼玉県熊谷市の会社員、伊藤直也さん(48)はダム好きのリピーター。「だんだん出来上がっていく今しかない面白さがある」。町出身の野口徹さん(38)は家族5人で訪れた。「故郷を目に焼き付けておきたかった」

建設中の八ツ場ダムを撮影するガイドツアーの参加者(2018年12月、群馬県長野原町)

建設中の八ツ場ダムを撮影するガイドツアーの参加者(2018年12月、群馬県長野原町)

企画したのは17年に住民と町、国土交通省の約20人で結成した「チームやんば」。温泉協会の会長、樋田省三さん(54)がトップを務め、18年は地元主催の有料ツアーを5回開催した。ほぼ毎日実施する同省主催ツアーもあり、17年度は2万9千人、18年度は11月末までに4万9千人が来場。ツアーに参加しなかった人も含めると、16万6千人がダムを訪れた。

今後は地元主催を増やし、将来にわたる継続的な集客につなげていく。

利根川治水策として八ツ場ダム計画が発表されたのは1952年のことだ。反対運動は激しく、国の職員を拒むバリケードを張り建設反対の看板があちこちに立った。85年に地元が受け入れを決め、関連工事に着手。多額の工事費が消化された後の2009年になって民主党政権が建設中止を表明した曲折の歴史がある。

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