2019年3月25日(月)

IBMリサーチ、爪装着型センサーで健康状態を把握

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BP速報
2018/12/28 13:24
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日経デジタルヘルス

爪の色や艶で健康状態がわかることは知られているが、手の爪のひずみや動きをモニタリングすることによって、健康や病気の進行状況を把握しようという研究が進んでいる。

健康状態などを把握できる爪装着型センサー(写真提供:IBM)

健康状態などを把握できる爪装着型センサー(写真提供:IBM)

研究に取り組んでいるのは米IBMの研究開発部門IBMリサーチである。手の爪のひずみや動きを絶えず測定できる「爪装着型センサー」のプロトタイプを開発し、その測定結果によって握力を測る指標とする。科学誌「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)」に2018年12月21日付で掲載された研究論文で詳述している。

握力は幅広い健康問題を判断できる有効な指標とされてきた。例えば、パーキンソン病患者に対する治療薬の効果や、統合失調症患者の認知機能のレベル、患者の心臓血管の健康状態などと握力の関係性が指摘されている。また、全死亡や心血管死、心血管疾患の簡便で安価なリスク層別化法であることが示されている。

指でモノをつかんだり、握ったり、指を曲げたり伸ばしたりしても爪は一定のパターンで変形するという。変形は10マイクロメートルに満たないことがほとんどだが、ひずみゲージ・センサーを使うことで検知できる。それが爪装着型センサーだ。握力計を使って実験を行った結果、握り方を変えても握力を正確に予測できる十分なシグナルが爪から得られることを実証したという。

爪の変形から繊細な指の動きを解析できることも分かったという。鍵を回したり、取っ手を回してドアを開けたり、ドライバーを使ったりしたときに、回内運動や回外運動を伴う日常の動作の判別が可能になる。さらに、指で文字を書くなど繊細な動作も把握できる。ニューラルネットワークのトレーニングを繰り返して、センサーを装着した指で書いた数字の検出精度は94%だったという。

■スマートウォッチで機械学習を実行

プロジェクトでは、パーキンソン病患者の薬物治療の状況把握から始めた。パーキンソン病患者の大半は高齢者で、皮膚が次第に脆弱になる年齢層になる。皮膚にセンサーを取り付けて、動作のほかに、筋肉や神経細胞の健康状態などのデータを収集する方法もある。しかし高齢の患者の場合は、皮膚装着型のセンサーによって感染症などが発生する課題があった。爪装着型センサーは、そうした問題がないことも特徴とする。

爪装着型センサーは、複数のひずみゲージと、ひずみの値をサンプリングする小型コンピューターで構成する。スマートウォッチと通信する機能もある。スマートウォッチで機械学習モデルが実行され、パーキンソン病の症状である運動緩慢や震え、運動障害の評価を実施する。

プロジェクトチームでは、爪装着型センサーによって、健康状態に関する洞察を引き出し、新たな種類のユーザーインターフェースを実現できると考えている。このほかに、四肢麻痺患者とのコミュニケーションに役立つ、新たなデバイスの着想も得られたとしている。

(日経デジタルヘルス 増田克善)

[日経デジタルヘルス 2018年12月27日掲載]

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