2019年5月21日(火)

2018年関西文化界を振り返る 飛躍 世代・国の枠超え(もっと関西)
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関西タイムライン
コラム(地域)
2018/12/28 11:30
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2018年の関西文化界を振り返る。演劇・演芸では宝塚歌劇団が国の枠を超えて飛躍する一方、伝統芸能は世代交代や襲名などで新たな顔の登場が続いた。音楽は劇場の独自企画が注目され、美術は新施設の開設が相次いだ1年だった。

宝塚歌劇団はこれまでより規模を拡大して3回目の台湾公演を行った(C)宝塚歌劇団

宝塚歌劇団はこれまでより規模を拡大して3回目の台湾公演を行った(C)宝塚歌劇団

【演劇・演芸】宝塚、台湾20公演

現代演劇では宝塚歌劇団が盤石の人気と新たな可能性を見せつけた。萩尾望都の名作漫画を原作とする花組「ポーの一族」が宝塚ファンの枠を超えて広く人気を呼んだ。

10月に行った3回目の台湾公演は、初の高雄公演含め全20公演と規模を拡大。現地の伝統人形劇を原作とするミュージカルで観客を沸かせ"ヅカファン"の世界への広がりを実感させた。

一方、伝統芸能では世代交代が目立った。人形浄瑠璃文楽を代表する存在だった人間国宝の太夫、竹本住太夫が4月に亡くなった。深い情を体現する語り手として2014年に89歳で引退するまで現役で活躍した。後進への情熱的な指導でも知られ、半世紀近く文楽界をけん引。文楽界初の文化勲章も受け、幅広い交友関係を生かして普及・振興の面でも多大な功績を残した。文楽では三味線で人間国宝の鶴澤寛治も9月に他界した。

顔を失った文楽界だが、太夫の豊竹咲甫太夫が六代目竹本織太夫を、人形遣い吉田幸助が五代目玉助を襲名し、新たな世代による底上げが進む。

狂言では11月に善竹忠一郎が祖父で狂言師初の人間国宝だった彌五郎(やごろう)の名を、12月には茂山童司が新作狂言や現代演劇との交流など多彩な活躍で知られた祖父千之丞の名を継いだ。

落語では天満天神繁昌亭の開設など華々しい業績を残した桂文枝の後を継ぎ、笑福亭仁智が上方落語協会の会長に就任。7月には新たな落語定席として神戸新開地・喜楽館が開き、新たな落語ファン開拓への取り組みを始めている。

11月に京都・南座が改修工事を経て約3年ぶりに再開場。11、12月の歌舞伎「顔見世興行」は松本幸四郎家の三代襲名披露、片岡仁左衛門ら三代共演などが話題だった。

【音楽】独自企画キラリ

劇場の独自企画が光った。京都コンサートホール(京都市左京区)は没後100年のドビュッシーを特集。びわ湖ホール(大津市)は、春の大型連休に新たな音楽祭を立ち上げた。

いずみホール(大阪市中央区)が11月に始めた「古楽最前線」は、中世・ルネサンスから後期バロックまでの音楽を3年かけてたどる大型企画。2月に死去した同ホールの音楽ディレクター、礒山雅氏が開催に向け尽力。従来の古楽ファンにとどまらない聴衆を取り込んだ。

オーケストラと指揮者の成熟した関係が大きな成果を生んだ。関西フィルハーモニー管弦楽団は、桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎と取り組むブルックナーの全交響曲演奏が大曲の8番に到達。力強く深大な音色を引き出した。大阪交響楽団の寺岡清高は常任指揮者8年目の契約最終年度。シュレーカー、コルンゴルト、シェーンベルクらの知られざる佳作に光を当てた。

【美術】施設開館相次ぐ

新施設の開館が相次いだ。3月、大阪市北区に中之島香雪美術館がオープン。神戸市の香雪美術館の分館で、本館所蔵の日本と東洋の古美術が大阪の都心で鑑賞できる意義は大きい。中之島は国立国際美術館など美術関連の施設が軒を連ね、21年度には大阪中之島美術館も加わる予定。全国有数のミュージアム集積地へと発展を続ける。

同市住之江区の北加賀屋では11月、森村泰昌の個人美術館「モリムラ@ミュージアム」と、解散した劇団「維新派」関連の資料を収集・展示する「維新派資料室」が相次ぎ開設。同地区のアート関連施設は約40に上る。かつての造船の街をアートで活性化する試みは来年以降も注目される。

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