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ラグビー日本、スクラム成長に細部へのこだわり

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2018/12/28 6:30
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2019年のワールドカップ(W杯)に向け、ラグビー日本代表の成長が明らかなプレーがスクラムである。選手一人ひとりは小さく、力でも劣るが、日本式の細部にこだわる組み方で堅固な土台を築き上げている。自分たちのボールを確保してスムーズな攻撃につなげるだけでなく、さらにその先も見えてきた。

今秋のテストマッチ3試合。日本はマイボールのスクラムを計21度組んだ。そのうち20度でボールの確保に成功。相手から奪った反則も、自分たちが犯した数より多かった。3試合の相手がW杯2連覇中のニュージーランド(NZ)、世界ランキング4位のイングランド、大型FWのロシアだったから、なおさら値打ちは上がる。

日本式の細部にこだわるスクラムの組み方で堅固な土台を築き上げている=共同

日本式の細部にこだわるスクラムの組み方で堅固な土台を築き上げている=共同

第3戦のロシア戦。圧勝を期した日本だったが、リードを許す想定外の展開が続いていた。3点差の後半24分、自陣で相手ボールのスクラムを迎えた。さらなる失点は許されないシーン。組み合った瞬間、日本は右プロップの具智元の側からぐいと前に出た。対面の選手がたまらず頭を外す。主審はロシアが故意にスクラムを崩したと判断、笛を吹いた。

日本は相手のチャンスを潰したうえで、キックで敵陣に入って攻撃することができた。それ以降は失点せず、逆転勝利に成功している。

勝因は戦前の準備に

攻勢を決定づけたビッグプレーについて、左プロップの稲垣啓太は「単純に押しただけ」。長谷川慎スクラムコーチも「(それまでとの違いは)押しにいったか、いかなかったかだけ」と声をそろえる。つまり、押せば反則を奪える状態をつくった、戦前の準備に勝因がある。

長谷川コーチがロシア戦に向けて作成した、選手への説明資料は約50ページに及ぶ。相手一人ひとりのスクラムの特長も詳しく分析する中、要注意人物に挙げたのが左プロップのモロゾフ。190センチ、118キロの巨漢の武器が変則的なフォームだった。

モロゾフは組み合う前に体をやや外側にずらすことで、対面の選手の体を横から崩し、力の出しにくい姿勢にする。呼応して自軍の逆サイドのプロップが後退。相手のFW第1列の体の間に隙間をつくり、スクラムの崩壊に持ち込むという狙いだった。

日本はモロゾフの対面に入る右プロップ具智元が孤立しないよう、対策を取った。中央のフッカー坂手淳史と左プロップ稲垣が、具に寄り添うような形でサポート。さらに、8人が組むときのスピードを速めることで、モロゾフが横から攻撃する時間的な余裕を奪った。

分岐点となったこのスクラムでも具は強い姿勢を保てた。逆にロシアのスクラムは選手間の結束が弱まり、崩壊につながった。

モロゾフは直後に交代。残り4度のスクラムは日本が圧倒した。「ロシアとは(積み重ねてきた)ディテールが違うから全く怖くなかった。モロゾフがいなくなった後は押しまくることができた」と長谷川コーチ。W杯の開幕戦でも戦う相手に心理的な重圧を与えられた。

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