災害時のADRで協定締結 都道府県で初めて、和歌山
和歌山県は26日、災害時に被災家屋の瓦が落下して別の住宅を損壊するなどの近隣トラブルを想定し、裁判外紛争解決手続き(ADR)に関する協定を都道府県として初めて弁護士会と締結した。

協定には、災害が発生した際に弁護士が無料の法律相談に応じるほか、ADRで話し合う場所を県が確保し、周知に協力することが盛り込まれた。県の担当者は「裁判所が被災したり、交通網が寸断されたりする可能性もある。ADRは各地の避難所で実施できる」と話す。
2016年に地震被害を受けた熊本県では、家屋の修繕費負担や賃貸物件の立ち退きを巡る問題が続出した。熊本県弁護士会は手数料が優遇される「震災ADR」を開設。申し立ては約130件に上る。
熊本県弁護士会は17年1月に、同県益城町の施設でのADRに関する協定を町と締結した。当事者同士が地元施設で話し合える利点があったが、一度も活用されていない。同弁護士会の担当者は「協定内容を十分にPRできていなかった」と話しており、課題も残る。
和歌山県では、ADRについてのパンフレットを避難所で配布するなどして周知を図る考えだ。〔共同〕