米トルコ関係、急改善 米軍シリア撤退で
トランプ氏19年トルコ訪問も

2018/12/26 17:52
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【イスタンブール=佐野彰洋】シリア情勢を巡って対立してきた米国とトルコの関係が急改善している。トランプ米大統領がシリアからの米軍撤退を決めたことで、トルコが敵視するシリアのクルド人勢力への支援停止が決まり、2国間の最大の懸案が解消するためだ。2019年にはトランプ氏のトルコ訪問が実現する可能性もある。

1日、ブエノスアイレスで会談したエルドアン氏(左)とトランプ氏=トルコ大統領府・アナトリア通信提供

トルコ大統領府のカルン報道官は24日の記者会見で、エルドアン大統領の招待に応じ、トランプ氏が19年にトルコを訪れるとの見通しを述べた。米ホワイトハウスも同日、明確な予定はないと断ったうえで「大統領は将来の潜在的な会談を歓迎する」との声明を出した。

トランプ氏の訪問が実現した場合、国際会議を除く現職米大統領のトルコ訪問は09年のオバマ前大統領以来となる。

米軍の代表団が年内にも米軍撤退の調整をトルコ側と行うためトルコを訪れ、年明けの1月8日には外務副大臣をトップとするトルコの代表団が米ワシントンに赴く予定だ。これに先立ち、米国務省は地対空ミサイル「パトリオット」のトルコへの売却を承認した。

米国人牧師拘束問題を巡る対立がエスカレートし、トランプ政権がトルコに対する経済制裁を発動したのは、5カ月足らず前の8月だった。通貨リラの急落に見舞われたエルドアン氏は「経済戦争」を仕掛けていると米国を非難していたが、風景は一変した。

トルコはシリアのクルド人勢力を自国の非合法武装組織クルド労働者党(PKK)と同一視している。米軍による支援で同勢力が国境沿いに支配地域を広げたことに危機感を覚え、早期に新たな掃討作戦を開始すると警告していた。

トランプ氏は14日の電話協議で、支援停止を求めるエルドアン氏の説得を受け入れる形で、急きょシリア撤退を決め、5日後に正式発表した。これが引き金になり、マティス米国防長官が辞任を決め、国際社会に衝撃が走った。

トランプ氏がエルドアン氏の要請に耳を傾けた一因は、10月にトルコで起きたサウジ人記者殺害事件の影響があったとみられる。トランプ政権は中東政策の軸にサウジを据え、同国のムハンマド皇太子に肩入れしてきた。だが、トルコはサウジ政府に批判的だった記者の殺害に皇太子が関与したことを示唆する証拠を次々と示し、皇太子の国際的な信用は失墜した。トルコとの関係改善には、同盟国サウジへの批判を緩めさせるトランプ氏の意図がにじむ。

とはいえ、トルコにとっても米軍撤退後の空白を埋める作業は容易ではない。トルコはシリア国境に軍を増派し、影響下にあるシリア反体制派も、米軍が駐留するシリア北部のクルド人勢力の拠点マンビジュ周辺に部隊を増強した。

一方、ロシアやイランの支援を受けるアサド政権側の部隊がマンビジュ近郊に入ったとトルコメディアは報じた。トルコの越境作戦開始をけん制する狙いとみられている。

エルドアン氏は25日、シリア情勢を協議するため早期にロシアのプーチン大統領と会談する考えを明らかにしたが、ペスコフ大統領報道官は同日、目下の会談予定はないと述べた。

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