2019年7月19日(金)

スリリングだった世紀末の年越し(平成のアルバム)
2000年問題

コラム(社会)
2018/12/29 6:30
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越年態勢をとる厚生省の2000年問題対策本部情報センター(1999年12月31日、東京・霞が関)

越年態勢をとる厚生省の2000年問題対策本部情報センター(1999年12月31日、東京・霞が関)

昭和の年末年始は今よりずっと静かだった。銀行が休みに入る前に必要な金をおろし、スーパーマーケットが臨時休業になる前に食料品を買い込む。平成になると、コンビニエンスストアのATMでいつでも現金を引き出せるようになり、スーパーの元日営業も当たり前になった。こたつで過ごす平穏な正月はいつのまにか姿を消した。

だが、19年前の年末年始は特別だった。かつての静けさとも、昨今の慌ただしさとも異質な、独特の緊迫感に包まれていた。1999年から2000年へ。1000年に1度のお祭り騒ぎの一方で、100年に1度の区切りを想定していなかったコンピューターが日付の処理を誤って一斉に誤作動する可能性が持ち上がった。

「飛行機が落ちてくるのでは」「工場のプラントが全部止まるかも」……。世紀末だけに悲観論は根強く、「1999年7月に降りてくるはずだった恐怖の大王はこれだったのか」と、ノストラダムスの大予言を重ね合わせる人もいた。米国では国防総省(ペンタゴン)のコンピューターが誤作動して人類滅亡の危機が訪れるという映画「Y2K」が公開され、不安は世界に拡大した。

迎えた大みそかのカウントダウン。年をまたぐ瞬間、JRなどの鉄道会社は運行していたすべての列車を最寄り駅に臨時停車させた。ホテルや商業施設はエレベーターを一時停止し、鉄鋼業界も高炉を止めて不測の事態に備えた。「3、2、1……」関係者が息を詰めるなか、大きなトラブルは起きず、安堵のため息が広がった。

政府の最終報告書は、1年半に及んだ事前の対策がなければ「外部にかなりの影響が出た」と指摘している。国全体の対策費が2兆円を超えたとの試算もある。年末のテレビ番組も見られず、家族と年越しそばも食べられず、パソコン画面をにらみながら年越しの瞬間を迎えた人は数十万人に及んだとみられる。

2000年問題 日付を西暦の下2ケタのみで処理していたコンピューターが、1999年から2000年に変わる際に、「00」を1900年と処理して誤作動する可能性があるとして、世界規模でプログラムが修正された問題。「Y2K」や「ミレニアム・バグ」とも呼ばれた。この問題の影響で年末年始の旅行を控える人も続出。ハッピーマンデー制が初適用された「成人の日」を含む1月8、9、10日の3連休に海外に出かける人も多かった。

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