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今日も走ろう(鏑木毅)

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多様な生き方へ 働き方改革で趣味楽しむ

2018/12/27 6:30
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ここ数年、働き方改革、ワーク・ライフ・バランスが叫ばれ、長時間労働の問題がようやく真剣な社会課題として認識されるようになった。10年、いや20年遅きに失した感もあるが、長時間労働がなかなか消滅しない理由は何だろう。

40歳まで勤めた公務員時代、印象的な先輩職員がいた。趣味は本格的な登山。ほぼ毎日、終業時間早々に帰宅し、年末年始は冬山で過ごすため有給休暇を有効利用していた。私から見て、彼の仕事ぶりは正確で無駄がなく、とりわけ公務員として重要な公平中立の立場を崩さず、あらゆる行動に筋が通っていた。人柄は人間味にあふれ、憧れの存在でもあった。退職後は現役時代に訪れた数多くの山の紀行文や地域の山々に関する多くの書籍を出版するなど、地域の登山史に大きく貢献し、今なお多くの人々に慕われている。

仕事を頑張るからこそ箱根を走る喜びも増す

仕事を頑張るからこそ箱根を走る喜びも増す

当時、職場ではその働き方について賛否両論があった。十分な仕事をしており特に問題ないという意見の一方で、多くの職員がまだ仕事をしている時間に帰宅するのは職場の雰囲気を乱すと煙たがる人々もいた。

彼が定時帰宅したあと、緊急と銘打っていたものの翌日でもさして問題はない類いの仕事が入ったことがある。一部の職員はこのときとばかり彼をやり玉にあげた。私は口にこそ出さなかったけれどそうした職場の空気に違和感をおぼえた。

数年がたち、私は野山を走るトレイルランニングでの活躍を目指すようになった。すると彼と同じくできる限り早く帰宅するために勤務時間中の仕事の密度を高めるように努めた。残業なしで済むように働くと、就業中の周囲とのコミュニケーションをより大切にし、かえってより熱心に楽しく仕事に取り組むようになった。

長時間労働を是正するには仕事の合理化や人材の適正配置などさまざまな方法があるけれど、働く個人の仕事観が変わらなければ根本的な解決にはつながらない。

社会人たるもの仕事が生きがい――。私も含め今の50歳近辺の世代はそのようにたたき込まれてきたように思う。かつてのドリンク剤のCMにあったように自分の全時間を仕事に捧げるのがよしとされてきた。今考えれば常軌を逸した社会だった。徐々にそうした風潮も変化し、仕事第一の人生でない人々も増えてきた。それでもおそらくは罪悪感を抱きつつ世の流れで仕方なく休んでいる、そんな人も数多いのではないだろうか。

ヤフー会長の宮坂学さんはその世界を極めた方であるにもかかわらず、仕事以外にも世の中には楽しいことがたくさんあり、それらを楽しまない人生ではあまりにもったいないと、登山やサーフィンに精力的に取り組んでいる姿が興味深い。

これからの時代、生き方はもっと多様であるべきだ。周囲もそれを受け入れる寛容さを持ち合わせる必要がある。退職後の人生を豊かで輝かしいものにできるよう、現役時代から好きなことに少しずつ取りかかってみるといい。

(プロトレイルランナー)

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