2019年5月27日(月)

東海第2原発の広域避難 茨城県民の受け入れ先決定

2018/12/25 22:00
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日本原子力発電の東海第2原子力発電所(茨城県東海村)の事故・災害に備え、水戸市が25日、埼玉県内11市町と協定を結び、避難対象となる茨城県民96万人の受け入れ先が決まった。広域避難計画作りに向けて一歩前進した格好だが、課題はなお山積している。移動手段や要配慮者の安全をどう確保するか。自治体だけでは解決できない問題が目立つ。

水戸市と埼玉県内11市町との協定締結式(25日、さいたま市)

25日に水戸市が協定を結んだのは埼玉県の加須、春日部、羽生、草加、越谷、久喜、八潮、三郷、幸手、吉川、杉戸の11市町。市外避難が必要となった場合、水戸市民3万9289人を受け入れる。加須市の大橋良一市長は「最大限の支援に努めたい」と述べた。

一方、水戸市の高橋靖市長は謝意を示したうえで「まだまだ入り口にすぎない」と指摘。実効性のある避難計画策定に注力すると強調した。

東海第2原発から半径30キロメートル圏内にある茨城の14市町村に策定を義務付ける広域避難計画では、避難者の受け入れ先の確保が重要な課題だった。今回の協定で水戸市民約27万人の避難受け入れ先が確定した。他の13市町村は既に県内外の自治体と協定を結んでおり、計画作りのハードルを1つクリアした。

難航しているのが、自家用車を持たない人の移動手段の確保だ。協力先となる県バス協会と県との協定締結は「メドが立っていない」(県原子力安全対策課)。運転手への連絡体制や防護服の受け渡し方などが詰め切れていないという。

県の試算では、同原発から5キロ圏内の避難(約8万人)に454台、5~30キロ圏内(約88万人)の避難に2816台が必要。一度に96万人が移動する訳ではないが、営業時間中のバスを避難用にどう確保するかが大きな課題だ。

要配慮者の安全確保も体制が整わない。重度の入院患者など避難で健康状態が悪化する恐れのある人は屋内で退避する。このため、10キロ圏内の病院などは専用装置の設置など放射線の防護対策を取る必要がある。

一連の対策工事は病院など施設側が進めるもので、必要経費は国から全額補助される。県は周知や説明にあたるが「入札や人手繰りなど負担が大きく、工事は進んでいない」(県原子力安全対策課)。施設の新設などで全体数は把握できていないが、既に実施したのは県内で24カ所という。

避難計画の策定で各首長が重視する実効性の担保には、自治体と国、事業者などの連携が欠かせない。住民はもちろん、仕事や観光などでたまたま県内を訪れていた人も含めた安全性をどう確保するか。時間ありきではなく、あらゆる事態を想定した計画作りが求められる。

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