2019年4月23日(火)

プーチン政権、北方領土返還反対デモに警戒感

2018/12/25 17:46
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【モスクワ=小川知世】ロシア政府が、北方領土の日本への返還に反対する国内でのデモへ警戒を強めている。受給開始年齢の引き上げを軸とする年金改革を機に支持率が低下するなか、プーチン大統領は相次ぐデモが反政府運動に波及する事態を懸念しており、抑止に乗り出し始めた。

引き渡しに懸念が広がっている(8月、色丹島)=共同

「我々に余っている土地はない!」「(北方領土を巡る現状の)見直しは支持しない」。返還に反対する集会は22日、北方領土を管轄するサハリン州のユジノサハリンスクで行われた。地元メディアによると、集会は野党・共産党などの呼びかけで催され、約400人が参加した。15日に続いて2週連続。参加人数はほぼ2倍になった。

プーチン大統領と安倍晋三首相は11月、北方領土のうち色丹島と歯舞群島の日本への引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を進めることで合意した。ところがロシアではその後、極東を中心に反発が目立つ。

抗議運動の規模はまだ小さいが、政権は警戒する。12月にサハリン州を訪れた極東担当のトルトネフ副首相は「日ロ首脳会談で(北方領土の)引き渡しを議論した事実はない」と述べ、議論の焦点は経済協力だったと強調した。

ユジノサハリンスクでの反対集会は15日が地元当局の許可を受けられないまま開かれた。22日には地元当局が急きょ別のイベントを開いた。反対集会への参加者を減らす狙いだったとの観測もある。いずれもプーチン政権の意向を映した措置とみられている。

プーチン政権が警戒するのは、返還反対デモが反政府デモに転じることだ。16日投開票の極東沿海地方の知事選では、プーチン氏が支持するコジェミャコ知事代行が勝利したが、政権が露骨にテコ入れした結果だった。

ロシア内政に詳しいモスクワ国立国際関係大学のソロベイ教授は、北方領土返還反対のデモや集会について「地方が不満をため込んでおり、爆発的な反政権運動の引き金になってもおかしくない」と指摘する。同氏によると、このため、中央政府の官僚が反対デモに神経をとがらせている。

実際のデモや集会とは別に、インターネット上では、プーチン政権と距離を置く活動家らが北方領土はロシア領だと訴える嘆願書を示し、返還に反対する署名運動を展開する。「故郷を売り渡すな」「(ロシアは)クリミアを(ウクライナから)奪ったのに(北方領土の)島は(日本に)渡すのか」といった批判が飛び交う。著名な反体制派指導者アレクセイ・ナワリニー氏もツイッターで反対集会を紹介した。

ロシアの世論調査でも日本への北方領土返還に反対する声は多い。11月の民間機関の調べでは「経済協力を発展させるために島を渡すべきか」との問いに74%が反対した。政府系機関の調査でも過半数が北方領土は「ロシアに帰属すべきだ」と回答した。

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