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豊島逸夫の金のつぶやき

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クリスマスショック、異常な大納会の予感

2018/12/25 8:28 (2018/12/25 9:12更新)
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日本の連休中に生じたニューヨーク(NY)発の株安、円高。一言で筋が悪い相場だ。

きっかけとなったのは、トランプ米大統領によるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任説。ウォール街では、トランプ氏の度重なるFRB口撃に、いずれ「パウエル議長はクビだ」と言い出すのではないか、との噂は流れていた。そこに外電が観測記事を流した。ムニューシン財務長官が否定ツイートしても、一連のホワイトハウス幹部の解任劇を見せつけられている市場は疑心暗鬼だ。その後、トランプ氏が「お粗末なゴルファーのごときFRBが問題の全て」と毒づいたが、さすがに「議長解任」の言葉はなかった。結局、噂の域を出ていない。それでも市場心理悪化を映す騒動ゆえ筋が悪い。

次に、ムニューシン財務長官が滞在中のニューメキシコ州から大手銀行6行トップに異例の個別電話で流動性には問題がないことを確認した。さらに、金融監督関連当局とリーマン・ショック時を連想させるような、流動性・健全性・清算機構の機能性を確認する「会議」を開催した。

政府機関は一部閉鎖中だが、金融当局は経済危機に対応できることを示し、市場の懸念を払しょくするための「透明性」を強調するための動きだろうが、あまりに唐突だった。ハイイールド債市場で信用不安などは懸念されていたが、市場は危機水準との切迫感は薄かった。それゆえ、市場はムニューシン財務長官は自分たちが知らない何かを握っているのでは、と勘繰る。

しかし、米国銀行はストレステストの洗礼を受けている。金融危機防衛緊急会議を招集するほど流動性不安の懸念が生じるとは考えにくい。パウエル議長が利上げに関して市場との対話を誤り混乱を招いた直後に、財務長官が同じ過ちを侵した感がある。ムニューシン財務長官にも株価急落を招いた責任者の一人として解任の噂が絶えない。それゆえの焦りであろうか。やはり筋が悪い。

政府機関の一部閉鎖にしても、市場は慣れているので、「閉鎖」という言葉ほどの緊張感は薄い。むしろ「またか」と冷ややかに見ている。投機筋の売りの口実に使われている印象が強い。

原油価格が42ドル台まで続落したことも、VIXが警戒水域内の36台にまで急騰したことも、市場心理を悪化させている。

重要なのは、これほどの資産価格変動を誘発している市場環境だ。

世界的な経済減速の悪影響が独り勝ちと言われた米国にも跳ね返ってくることが懸念される。

量的緩和という非伝統的政策が日銀を除き終わりに向かい、過剰流動性が回収の段階に入った。もはや、潤沢なマネーの時代は終わりつつある。

トランプ政権内で国務長官、国防長官、司法長官、主席大統領補佐官と相次ぐ解任は異常というほかない。ロシアゲート捜査の進展とともに政治リスクが顕在化している。

そして、日本も当然、巻き添えを食らう。

日経平均は2万円の大台を割り、下値模索の段階に突入した。震源地が米国市場ゆえ、日本時間深夜に大きく変動してしまう。日本市場はその結果を受け入れるほかない。外国人投資家への依存体質が下値メドの予測を難しくしている。

円高要因も根が深い。今回は株安だが、日米通商交渉の議題に為替も含まれることは円高材料だ。FRB、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和終了となり、次は日銀との観測が特に欧米市場では強く意識され、これまで関心が薄かった日銀政策決定会合への注目度が飛躍的に高まっている。外電の「出口」観測記事により夜間に円高が進行してしまうリスクが2019年は増えそうだ。

今回のクリスマス・ショックは19年相場の予告編に見える。

まずはNY市場が24日は半ドン、25日は休日だ。それゆえ、東京市場は今日、明日とNY発クリスマスショックの影響を背負わねばならぬ。騒然とした大納会となりそうな予感が漂う。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・公式サイト(www.toshimajibu.org)
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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