中国、技術移転の強要禁止を明文化 実効性は不透明 - 日本経済新聞
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中国、技術移転の強要禁止を明文化 実効性は不透明

米と次官級協議「新たな進展」

【北京=原田逸策】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は23日、外資投資を保護する外商投資法案の審議を始めた。外資の技術を行政手段で強制的に移転することを禁じる規定を盛った。米国の批判を意識して明文化したようだが、中国はもともと「政府が技術移転を強制したことはない」との立場をとる。米国が求めるような技術移転の阻止にどこまで実効性が上がるかは不透明だ。

中国共産党機関紙、人民日報が伝えた。

これに関連して中国商務省は23日夜、21日に米中間で次官級の電話協議をしたと発表した。「貿易均衡や知的財産保護の問題で深く意見を交わし、新たな進展があった。次回の電話協議と相互訪問の予定も話しあった」としている。

法案の柱は技術移転の規定。「技術協力の条件は双方の協議で決め、行政手段で強制してはならない」とした。米国は2019年3月1日までの対中協議で技術移転強制の改善を強く求めており、意識したとみられる。

ただ、中国はもともと技術移転について「企業と企業の交渉で政府は何もしていない」(王受文商務次官)との立場。あくまで商取引の一環で外資が自ら進んで技術移転しているという建前だ。法案は公式見解を明文化しただけともいえる。

実際、法案は「自主的かつ商業ルールにのっとった技術協力は奨励する」とも記した。「協力」は外資からみれば「強制移転」と映る。

海外の批判が強まってから中国は企業と政府があうんの呼吸で役割分担し、外資が「自主的」に技術を移転するよう仕向けてきた。ある北京の外交筋は「外資側にも『最先端技術以外なら技術を渡して市場が取れるならやむをえない』との割り切りがあった」と話す。

ただ、中国企業が力をつけて日米欧企業との差を急速に縮めており、これまでの慣行を許すと中国企業にハイテク覇権を握られかねないとトランプ米政権は懸念する。その懸念に今回の法案が答えたかどうかは微妙だ。

法案は「外国投資家の中国での出資、利潤、資本収益などは法に基づいて人民元や外貨で自由に海外送金できる」とも明記した。中国の通貨当局は資本流出と人民元安が進んだ17年春には外資企業の配当送金などを制限して批判を浴びた。法案の規定通りに運用されれば外資投資の保護は一歩前進といえる。

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