守・破・離への道(岡田武史)

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FC今治、J3昇格へ来季は失敗許されぬ

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2018/12/26 6:30
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外国人枠を拡大する一方で、Jリーグはホームグロウン制度も採り入れることにした。自前の育成機関(アカデミー)で育てた選手をトップチームに加えることを義務化したものだが、こちらも趣旨を履き違えると混乱のもとになる。あくまでもこの制度はトップチームに登録できるような素晴らしいタレントを育てなさいという意味であって、その力もないのに「そういうルールだから」という理由で無理やりトップチームに引き上げるようなことになると本末転倒になる。

よかれと思った制度がサッカーをダメにする実例は中国で監督をしているときに私も経験した。若い選手を育てるためにリーグが「先発メンバーに必ず何歳以下の選手を入れろ」と制度化したところ、そうやって出場した選手が開始から5分で一斉にベンチに下げられる事態が頻発したのだ。こういうことはルールではなく、自然にそうなるような環境をつくっていくべきなのだ。

「スタジアムを満杯に」が出発点

話を今治に戻すと、今年は株主の構成を変えた。私の持ち分を減らし、今治造船と日本食研ホールディングスを筆頭に今治の中心企業4社に株主に加わってもらった。これでFC今治が地元経済界から支持されていることを内外に発信できる。我々の信用が格段にアップすることになる。これはJ1仕様のスタジアム建設にも追い風となると思っている。

株主については将来、株式公開(IPO)を実施し、市民クラブとして広く出資者を募る考えもある。

最先端でありながら、人と人とが触れ合える、ぬくもりのある「場」でもあるスタジアムをつくりたい

最先端でありながら、人と人とが触れ合える、ぬくもりのある「場」でもあるスタジアムをつくりたい

スポーツビジネスの原点は常にスタジアムを満杯にすることだと思っている。満杯でチケットが取れない、それでも見たい人はテレビで見ようとする、だから放映権料が上がり、グッズなども売れるという循環が生まれる。スタジアムを埋めることがすべての出発点になる。

その埋め方を、レアル・マドリードのように「銀河系」と呼ばれるほどスター選手をかき集めて果たすやり方もあれば、そうした資金力のないクラブは違うアプローチを編み出していかなければならない。

今治の場合は「サッカーをやっているから見にきてほしい」というだけでは誰も見にきてくれない。サッカーを見なくても楽しんでもらえる場をつくるとともに、自分たちの方から地域のコミュニティーとたくさんの接点をつくって興味を持たれるしかない。それで「孫の手運動」や「子ども食堂」といったボランティア活動にも力を入れている。

新しくつくりたいと考えているスタジアムは、そういう活動の一大拠点にしたいとも思っている。あらゆるモノがネットにつながるIoT時代にふさわしい最先端のスマートスタジアムでありながら、人と人とが触れ合える、ぬくもりのある「場」でもある。そんな夢を持ちながら、新しい年を迎えたいと思っている。

(FC今治オーナー、サッカー元日本代表監督)

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