守・破・離への道(岡田武史)

フォローする

FC今治、J3昇格へ来季は失敗許されぬ

(2/3ページ)
2018/12/26 6:30
保存
共有
印刷
その他

監督として失敗しながら私も学んだことだが、シーズン途中でチームを任され、無我夢中というか無心で目の前の試合を戦うのと、1年というスパンでチームを預かり、チームづくりと勝利の二兎(にと)を追うのは別種の難しさがある。シーズン途中からチームを引き受け、成功した比較的経験の浅い監督を次のシーズンも続投させると、8割方失敗するというのが各クラブのゼネラルマネジャーの間の常識になっているくらいである。

なぜ、失敗してしまうのか。後者の立場になると、どうしても妙な色気というか、「今季はこういうチームにしよう」「今季はこういうサッカーをしよう」という欲が出る。監督なら当然のことだし、大切なことなのだが、新しいことにトライして、それがもくろみどおりに運ばないとき、経験が乏しいのでうまく軌道修正することができない。それで沈んでしまうことが多いのである。監督はそうやってつまずきながら成長するものだが、来季の我々は失敗が許されない。

経験があれば確実にJ3に上がれるわけではないが、昇格がマストになる来季、監督経験が豊富な小野に託した方がリスクは確実に小さくできると判断した。

チーム編成の大方針にも修正を施した。監督の意見を採り入れつつも、クラブが主導して戦力を整えることにした。米国の大リーグ方式というか、クラブが大枠をつくって集めた選手を、監督はキャンプ中に戦力になるかどうか吟味する。戦力外と判断したら、他のクラブにレンタルなどの形で貸し出す。「契約を更改したから俺は安泰」みたいな雰囲気に、新シーズンに向けたキャンプ中でも、選手をさせないためだ。出場機会を得たレンタル先で成長してくれたら、故障者が出た場合にチームに呼び戻すこともできる。

スタートダッシュがとても大事に

来季は開幕3連戦のスタートダッシュがものすごく大事になると思っている。いいスタートを切るには圧倒的に勝っていく力がいる。クラブの決算が3年連続赤字だと、Jリーグから発給されたクラブライセンスを取り上げられることにつながるが、来季は勇気を持って赤字覚悟の戦力補強を行うつもりでいる。

エイバルのように8000人収容のスタジアムで立派にトップリーグで戦っているチームがある=AP

エイバルのように8000人収容のスタジアムで立派にトップリーグで戦っているチームがある=AP

先日のJリーグ理事会で、クラブライセンス取得に必要なスタジアムの要件が緩和された。これはいい決定だと思っている。1993年に10クラブで始まった時代ならいざ知らず、J1からJ3まで54もクラブがある時代である。外国には乾貴士が昨季まで所属したスペインのエイバルのように、8000人収容のスタジアムで立派にトップリーグで戦っているチームがある。1000万人の人口を後背地に持つ都市のクラブと、16万人しかいない今治のようなクラブを一律の条件で縛ること自体、問題があると、かねて思っていた。

来季からJ1の外国人枠は3人から5人に拡大されることも決まった。外国人枠を広げると、日本人選手の出場機会が減って、特に若い選手が育たなくなると心配する向きもあるが、私自身はそれほど大した問題だと思っていない。枠を厳しく制限して日本人選手を保護したところで、本当にやる気のある選手はどうせ海外に出ていく。日本国内でもある程度、一流の外国人選手と勝負ができる環境をつくってやらないと、むしろ伸びる機会を失うと思っている。

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

サッカーコラム

電子版トップスポーツトップ

守・破・離への道(岡田武史) 一覧

フォローする
FC今治を足場に湘南へ移籍し、今季はJ1でプレーする小野田(左)=共同共同

 人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)が生活の隅々に及ぶ未来の社会において、スポーツはいかなる価値を持つのか。今回はそんなことを読者の皆さんと一緒に考えてみたい。
 3月17日に開幕した第21回日本 …続き (5/24)

ファンやサポーターの厚情に応えるためにも、「来年こそは」と誓いを新たにした

 日本フットボールリーグ(JFL)からJリーグ3部(J3)への昇格を目指した2018年シーズン、私がオーナーを務めるFC今治は年間順位5位に終わり、目標を達成できなかった。負け惜しみととられるかもしれ …続き (2018/12/26)

攻め込むFC今治の桑島(右)。今年はJ3昇格を果たさなければならない

 私がオーナーを務めるFC今治は2年目の日本フットボールリーグ(JFL)を戦っている。3月11日に開幕したファーストステージは第10節(5月20日)を終えた時点で4位(5勝2分け3敗の勝ち点17)にい …続き (2018/5/28)

ハイライト・スポーツ

[PR]