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選手発掘に一役 大リーグが力注ぐ「脳トレ」
スポーツライター 丹羽政善

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2018/12/24 6:30
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ここ数年で、大リーグのデータ化は別次元に入っている。その流れの中で、どのチームも少しでもアドバンテージを得ようと、能力の数値化、その分析に力を注ぐ。今回はそんな様々な試みの中から、脳科学を巡るアプローチについてまとめてみたい。

2017年、イチローのスイングスピードが速くなった、という原稿を3回に分けて紹介した。

 ・イチローの打撃の神髄、ゼロコンマ何秒の世界(前編)
 ・イチローの打撃の神髄、ゼロコンマ何秒の世界(中編)
 ・イチローの打撃の神髄、ゼロコンマ何秒の世界(後編)

仮にインパクトの瞬間の時速が90キロから100キロに上がったとして同じポイントで打つ場合、始動を約0.015秒遅らせることができるという。国立スポーツ科学センターの森下義隆さんに算出してもらった。

「0.015秒の大きさ」とは…

では、この0.015秒とは打者にとってどのような意味を持つのか。イチローに聞くと「そりゃ、大きいよ」と言って、言葉を継いだ。

「全然、違う」

150キロの球の場合、0.015秒で約60センチ進む。つまりは60センチ分、打者は長くボールを見られる。ストライクかボールか。球種は何か。0.015秒には情報が詰まっている。

結局、どれだけ速くストライクかボールかを見分けられるか、あるいは軌道からどれだけ速い段階で球種を見極められるか。その判断が速ければ速いほど、打者には準備の時間ができる。イチローが言っている「0.015秒の大きさ」とはそういうことだが、その能力は当然、打者有利に働く。

ベッツは高校時代、野球とバスケットボール、ボウリングの「三刀流」アスリートだった=AP

ベッツは高校時代、野球とバスケットボール、ボウリングの「三刀流」アスリートだった=AP

そのことに目が向けられるようになったのは、18年のア・リーグ最優秀選手(MVP)に輝いたムーキー・ベッツ(レッドソックス)の存在がきっかけか。

彼は高校時代、野球とバスケットボール、ボウリングの「三刀流」アスリートだった。現在はボウリングでもプロとなり、17年のボウリングのワールドシリーズで300点をたたき出すほど。身体能力の高さには、各球団のスカウトも一目置いた。

ただ、その一方で彼の場合、175センチという身長の低さゆえ、プロでの成功は難しいと考えられていた。

12月10日付の「身長は問題じゃない 躍動するメジャーリーガー」でも紹介したが、12年の調査では175センチ以下の選手は過去、メジャーリーガー全体の11.6%しかいなかった。

成功するかどうかというより、ドラフトの時点でふるいにかけられていた。

しかし、レッドソックスが11年のドラフト前、ベッツに米ケンブリッジにある「ニューロスカウティング」という研究所が開発した脳科学のテストを受けさせたところ、球種やストライク、ボールの認識力が飛び抜けて高かったというのである。

レッドソックスは5巡目で彼を指名すると、3年後の14年にメジャーデビュー。翌年の春には、ベッツの持つ能力が報じられるようになり、その後の活躍によって一段と脳科学と野球の能力の相関性をデータでひもとく試みが注目されるようになっていった。

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