仏、6週連続デモ 参加は3万8600人に大幅減
【パリ=白石透冴】フランスのマクロン政権に反発するデモが22日、同国各地で行われた。実施は6週末連続だが、クリスマス休暇もあって参加人数は夕時点で3万8600人と前回の6万6千人から大きく減る見通しとなった。22日はパリなどの大都市のほか、スペインやベルギーとの国境付近で道路をふさぐなどして抗議した。
警察当局は夕時点で仏全土で220人を拘束した。蛍光の黄色いベストを着て集まる反政権運動「黄色いベスト」は燃料税の引きあげ方針への反発をきっかけに、11月中旬に始まった。
仏政府はデモを沈静化させたい考えだが、過半数の国民が現在もデモに賛同し、マクロン大統領の支持率は低下が続いている。クリスマス休暇後の年明けに再びデモの規模が拡大するとの見方もある。
仏議会は21日夜(日本時間22日未明)、最低賃金の8%上昇、残業代に課税しないなどの生活支援策の法案を賛成多数で可決した。100億ユーロ(約1兆2600億円)に上る政府負担が出て、2019年は国内総生産(GDP)比の財政赤字がEUルール「3%以内」に違反する見通しだ。
デモ参加者の要求はまとまりがなく、当初は燃料税引き上げの中止や、最低賃金の引き上げなどを求めていた。だがマクロン氏が譲歩するや、今度は国民投票制度の改正を求めている。次々に出てくる要求に、仏政府は対応に手を焼いている。
調査会社エラブの19日の世論調査によると、黄色いベストの運動を支持する人は70%。前の週の73%からは落ちたが、いまだ仏政府の対応に納得していない人が多いことを示している。
マクロン氏の支持率は2割台に落ち込んでおり、史上最も人気がないと言われたオランド前大統領の同時期の水準に並んでいる。
このためデモはクリスマス休暇で規模が小さくなっても、マクロン氏が取り組む次の改革で再び激化するとの見方もある。年金システムの一本化、公務員の削減などもともと難しいと言われてきた改革のスピードはさらに落ち込むとの指摘がある。
黄色いベストは経済に深刻な影響を与えている。仏国立統計経済研究所(INSEE)は18日、18年の実質成長予測を0.1ポイント下げて1.5%とした。17年の成長率は2.2%だった。