トランプ氏、FRB議長解任議論か 米報道
【ワシントン=河浪武史】米ブルームバーグ通信は21日、政権関係者が「トランプ大統領は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を議論している」と明かしたと報じた。FRBは19日に利上げを決断したが、米株価が大幅に下落。トランプ氏はパウエル氏の政策運営に不満を抱いている。ただ、大統領がFRB議長を解任する権限は大幅に制限されており、実行は不透明だ。
同通信によると、トランプ氏の側近が「パウエル議長を解任すれば惨状を招く」と事態の沈静化を図っているという。トランプ氏は19日の利上げの前に「市場に敏感になれ。間違いを起こすな」と繰り返しFRBに圧力をかけていた。19日の利上げ決定後は表立った発言をしていない。
FRBは独立機関で、米大統領が議長を解任するには「正当な理由」が必要とされている。関連法はFRBの責務を「雇用の最大化と物価の安定」と定めており、金融政策の方針の違いだけで大統領がFRB議長を解任するのは難しい。
1930年代にルーズベルト大統領(当時)が米連邦取引委員会(FTC)委員長を政策方針の違いで解任した際は、最高裁判所が委員長の罷免を無効にする決定を下している。
ただ、トランプ政権は大幅な株価下落に動揺し、FRBへの批判の声が強まっている。ナバロ大統領補佐官(通商担当)は日本経済新聞の取材に「19年に2回の利上げというのは余計だと我々は考えている」と表明した。株価下落は個人消費を冷やして米景気を下押しするだけに、トランプ氏のFRBへの圧力は一段と強まりそうだ。