沖縄振興費、玉城県政でも低水準 辺野古の対立が影

2018/12/22 6:02
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政府が21日の閣議で決めた2019年度予算案で、沖縄振興費は18年度と同額の3010億円となった。10月に玉城デニー知事が就任したが、今夏亡くなった翁長雄志前知事の時代からの低水準の予算配分が続く。米軍普天間基地(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る対立が影響している。観光や医療分野に重点を置く予算となったが、経済界からは懸念の声も上がる。

沖縄振興費は政府が沖縄で実施する事業や交付金の総額だ。安倍晋三首相は13年に当時の仲井真弘多知事と、21年度まで3000億円台を確保すると約束した。14年度の約3500億円がピークで、辺野古移設に反対する翁長氏の就任以降は減少傾向にあった。

8月末の概算要求で内閣府は3190億円求めていたが、18年度と同額で決着した。県経済団体会議の石嶺伝一郎議長は「厳しい財政状況のなか沖縄振興推進のために18年度と同額を確保してもらった」と一定の評価を下した。

県にとっては増額要求が認められなかった格好。加えて、県が自由に使途を決められる沖縄振興一括交付金が8%減り、12年度の制度創設以来、最も少ない。

一括交付金は県を通じて市町村にも配分される。建設大手の幹部は「市町村の事業が減れば、中小の建設業が影響を受ける」と県経済への影響を心配する。

この減少を補う形で今回初めて創設されたのが「沖縄振興特定事業推進費」だ。政府が県を通さず市町村の事業を補助する。概算要求にはなかった項目だ。与党系候補が敗れた9月知事選の結果を踏まえたとみられる。

県北部への振興事業も35%増の35億円だ。北部圏の中核市である名護市政は2月に保守系に転じている。辺野古で対立する県の頭越しに、政府が市町村へ関与する構図が強まる予算となった。

玉城知事はこれらを受けて「一括交付金が大幅に減額になったことは残念だ。沖縄振興特定事業推進費はその活用を注視する」とのコメントを出した。

現在の滑走路西側の海を埋め立て、第2滑走路を建設する(19日、那覇空港)

現在の滑走路西側の海を埋め立て、第2滑走路を建設する(19日、那覇空港)

このほか公共事業は1420億円と同額を確保した。20年3月の運用開始を目指す那覇空港の滑走路増設事業費も盛り込んだ。

米軍西普天間住宅地区の跡地で、琉球大学医学部と同付属病院を移設し健康医療拠点をつくる事業では59億円を計上した。土地取得のため大幅に増額し構想を加速する。

離島の基幹産業である製糖業向けには、従業員の宿舎整備などに12億円を充てた。新規事業として、市町村が観光客向けに避難看板の設置や食料備蓄に取り組んだ場合に政府が補助する事業を始める。19年度は10億円を盛り込んだ。

先進的なものづくり産業を支援する産業イノベーション創出事業は、1億円少ない13億円とした。

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