ゴーン元会長「会社の私物化」にメス 保釈間近一変、勾留長期化

2018/12/21 23:30
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日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)による「会社の私物化」疑惑に21日、検察の捜査が及んだ。自己の損失で日産に被害を与えた3回目の逮捕容疑により、これまでの報酬過少記載事件とは構図が一変。カリスマ経営者の「個人犯罪」の疑いが鮮明になった。保釈間近から一転して勾留がさらに長期化する中、ゴーン元会長と検察側の攻防は一段と先鋭化し、日産とルノーの経営を巡る主導権争いにも影響を与えそうだ。

「名誉を回復するには裁判で主張するしかない」。関係者によると、東京・小菅にある東京拘置所にいるゴーン元会長は弁護人に話した。

検察は8年分の有価証券報告書の報酬過少記載の容疑を5年と3年の2回に分けて逮捕し、最長40日間の勾留を前提に、逮捕容疑以外の捜査も並行して進めるシナリオを描いていた。

「時間稼ぎ」との批判が高まる中、その捜査に誤算が生じたのは、20日の東京地裁の勾留延長請求の却下だ。保釈された場合、ゴーン元会長が任意聴取に応じない可能性がある。勾留したまま捜査を進めるために、検察のとれる手段は2つだった。1つは地裁の決定に不服を申し立てること。もう1つは別の容疑で再逮捕し、身柄拘束を継続することだった。

自宅の無償提供、姉へのコンサルタント料支払い、家族旅行の費用負担――。日産の内部調査で判明した不正行為の中で特捜部が「堅い筋」と判断したのは、自身のスワップ取引で生じた損失の日産への付け替えだ。

もっとも、前日の想定外の司法判断が突然の逮捕劇につながった感は否めない。元特捜検事の高井康行弁護士は「特別背任容疑は年明けに着手するつもりが、急きょ前倒ししたのだろう」とみる。今後ゴーン元会長の勾留を裁判所が認めるかどうかが再び焦点だ。元東京高裁部総括判事の門野博弁護士は「特別背任は虚偽記載と比べ、複雑で証拠収集の範囲も広く、勾留が最長20日間に及ぶ可能性は十分ある」と話した。当初の捜査シナリオが崩れ、十分な捜査を尽くしていない可能性はあり、立証への影響も考えられる。

取り調べの録音・録画や司法取引など01年以降、司法制度改革を進めてきた。だが、今回の事件は取り調べに弁護士が立ち会えず、家族の面会も制限するなど世界の潮流と異なる日本の刑事司法制度の"ガラパゴス"化も浮き彫りにした。

ネットの急速な普及やデジタル経済の伸展で、日本企業だけではなく、検察の捜査もグローバル化と無縁ではない時代。国際的なカリスマ経営者の3回目の逮捕を「海外からは保釈つぶしの報復とも見られかねない」(高井弁護士)という懸念もある。日本の刑事司法制度の「異質」ぶりが改めて浮かび上がれば、グローバル化の中、日本の司法も孤立感が深まる恐れもある。(倉辺洋介、山田薫)

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