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球場が呼んでいる(田尾安志)

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サイン会より野球で稼げる幸せ オフこそ鍛錬を

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2018/12/23 6:30
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今はシーズンオフでも真面目にトレーニングをする選手が多い。長いシーズンが終われば秋季練習や秋季教育リーグに参加、個人でもよく体を動かしている。昔のオフは文字通りオフで、私が中日にいたころに投手コーチをしていた稲尾和久さんに聞いても、選手時代は「何もしなかった」と言っていた。

30代で気づいた筋力強化の大切さ

オフに鍛える大切さを感じたのは30代になってから。中日から西武に移籍した1985年のシーズンが終わり、まだ盛んではなかったウエートトレーニングに取り組んでみたいと思っていたところ、個人的にマッサージを頼んでいた人に極真空手の西田幸夫さんを紹介され、道場で1週間ほど教わることになった。

西田先生は「重いものを上げるのでなく、軽いもので効果を得る」という考えの人。例えば、3キロほどの鉄亜鈴で肩の三角筋を鍛えるメニュー。まず手の甲を上にしてそれぞれの手に鉄亜鈴を持ち、肘を伸ばす。ポイントになるのが、手首をしっかり下に曲げ、かつ内側にひねること。この状態で亜鈴を上げ下げすると効き方が変わってくるという。体を使わず腕の力だけで上げられるよう、壁などに背中をつけるやり方も教わった。重いバーベルを上げるベンチプレスは、思うように上がらなくなれば補助してもらい、逆に下ろすときは自力で下ろす。やり方一つでずいぶん効果が違うものだと実感した。

今や秋季練習は当たり前になった(高知県安芸市で行われた阪神の秋季キャンプ)=共同

今や秋季練習は当たり前になった(高知県安芸市で行われた阪神の秋季キャンプ)=共同

こうしてウエートトレーニングを積んだ結果、体重が4キロほど増え、太ももは3カ月で3.1センチ太くなった。西武から移った阪神で37歳まで現役を続けられた一因に肉体の強化があったことは間違いない。

西田先生の言葉で印象的だったのが「野球をするのに即した筋肉を付けないといけない」というもの。内村航平選手ら多くの体操選手は、日ごろ筋力トレーニングをしていないという。体操の練習を積むなかであれだけの体ができあがっているわけで、純粋に体操に必要な筋肉を付けられているということなのだろう。

米国ではよくジムの壁に「あすは来るな」と書かれた紙が貼ってあるそうだ。トレーニングを積むと体がムキムキになっていくのが楽しく、つい毎日通う人がいる。だが、効率的に筋力を高めるには、鍛えては休ませることが大事。休息が足りない状態で鍛えようとしてもなかなか負荷の最大値を上げることはできず、かえって効率が悪いという。ウエートトレーニングの最大の効用は、けがをしにくい体をつくること。度が過ぎて肉体美を求めるわなに陥らないよう、選手は気をつけてほしい。

そういう私も20代のころは自覚が足りず、オフにしっかり鍛えるという発想がなかった。「鍛えよう」との思いに至らない環境だった、というのが正確かもしれない。

同志社大から中日に入った76年、私の年俸は280万円だった。まだ用具メーカーと契約は結んでおらず、バットなどの道具は自費で購入していたから、実際の手取りは月17万円くらい。そこから10万円を実家への仕送りに回していたので、手元に残るのは7万円ほどだった。

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