2019年4月20日(土)

緩む歳出改革 社保・公共の膨張止まらず

2018/12/21 10:26
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政府が決定した2019年度予算案は、無駄をなくし、将来世代にツケを回すのを抑えるといった歳出改革の姿勢に緩みが目立つ。高齢化に伴う社会保障費の伸びは約1200億円抑えたものの、過去に決めた抑制策と薬の公定価格を実勢価格に合わせて財源を捻出したにすぎない。公共事業も膨らんでおり、19年10月に予定する消費増税を控えて、歳出改革は置き去りになった。

社会保障費は34兆円。18年度に比べ1兆円増えた。このうち、高齢化に伴う伸び(自然増)が4768億円、幼児教育・保育無償化など社会保障の充実で4808億円増えた。

歳出改革の象徴になる自然増は16~18年度、いずれも5000億円だった。過去3年間と比べて伸びを抑制したように見えるが、財政健全化に向け、負担や給付の見直しといった新たな制度改革に手を付けていない。

厚生労働省は18年夏の概算要求時点で自然増を6000億円と見込んでいた。1200億円抑制できた材料は2つ。1つがこれまでに決めた制度改革の実施だ。約800億円の財源を捻出した。最も大きいのが高収入の会社員(40~64歳)の介護保険料の引き上げだ。財務省によると、610億円抑制できるという。16年度に4年かけ段階実施すると決めていた。残りは生活扶助費の見直しなどだ。

2つめは薬の公定価格引き下げだ。医療材料を含め、500億円抑制できた。薬の実勢価格は時間がたつにつれ、下がる傾向にあり社会保障費の伸びを抑制する常とう手段となっている。19年度は本来の薬価改定する年ではなかったが、消費増税に伴い、19年10月に臨時で実施する。

物価と賃金の伸びに伴い、年金額の改定を見込む。自然増が100億円かさむことになったが、薬価引き下げなどで吸収した。

歳出の緩みは社会保障にとどまらない。公共事業関係費は相次いだ大規模災害に対応する経費を積み増したため、18年度予算と比べて16%増の約6兆9000億円に膨らんだ。近年、毎年6兆円程度の金額で推移していた公共事業費は「国土強靱(きょうじん)化」の名の下に一気に増加。当初予算ベースで約10年ぶりの水準に膨らむ。

国土強靱化には民間資金を含めて今後3年で約7兆円の事業費が投入される。災害対応として必要な予算とはいえ、景気対策としても活用したい政府・与党の思惑も絡んで膨れ上がった印象は否めない。真に必要な事業なのかどうか見極めが必要だ。

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