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トランプ氏、公約実現を優先 反対論押し切る

安保実務家らの影響力低下映す 議会との火だねにも

【ワシントン=中村亮】トランプ米政権によるシリア駐留米軍の撤退開始は、2016年の米大統領選での公約実現を優先するトランプ氏が、マティス国防長官ら安全保障の実務を担う側近の反対を押し切った結果だ。突然の路線変更は、政権の内向きぶりに拍車がかかっていることと、マティス氏ら側近の影響力の低下を如実に現しているとも受け取れる。

米紙ニューヨーク・タイムズによると、今回の撤退案はこの数日間にホワイトハウスで急浮上。トルコのエルドアン大統領がテロ組織とみなすシリアのクルド人勢力に攻撃すると14日に電話で伝えると、同勢力と協力関係にある米軍に被害が及ぶとトランプ氏が懸念するようになったという。

トランプ氏は大統領選の公約で、シリアに加えアフガニスタンやイラクからの米軍撤退も掲げた。就任後も、巨額の財政負担を強いられ米国の利益は小さいと主張。マティス氏らが、撤退は地域の安定を揺るがせ過激派勢力を勢いづかせるとして押しとどめてきた。

米メディアによると、19日に表明したシリアからの撤退に対しても、マティス氏は過激派組織「イスラム国」(IS)の復活につながりかねなず、少なくとも段階的な縮小にとどめるべきだと主張。クルド人勢力の支援を停止すれば、トルコが同勢力への軍事作戦に踏み切る公算が大きく、味方を突然見捨てる行為は米軍の信頼の失墜につながると訴えた。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も撤退に難色を示したもようだ。

ホワイトハウス高官は19日、関係閣僚らとシリア撤退を協議したかを問われると「撤退は大統領の決断だ」と強調。意見集約が進まない中で、トランプ氏が押し切ったことをにじませた。

トランプ氏が撤退の理由に持ち出したのは「シリアのISは壊滅した」との主張だ。ただ、共和党でトランプ氏に近いグラム上院議員は19日の声明で「米国や同盟国の国民を殺害しようとするイスラム過激派の熱意は全く変わっていない」と早期撤退を批判した。

オバマ前大統領は11年にイラクから完全撤退したが、その後の治安悪化でIS台頭を招いたと批判された。グラム氏は「トランプ政権はオバマ氏と似た過ちをしようとしている」と指摘。シリア撤退問題はトランプ政権と米議会の新たな火だねとなりそうだ。

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