初の100兆円予算、19年度101兆4564億円 増税対策2兆円

政府は21日、2019年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は18年度より3兆7437億円多い101兆4564億円。当初予算で初めて100兆円を突破した。消費増税に備えた景気下支え策に2兆円を投じるほか、高齢化で社会保障費も膨らんだ。19年1月に戦後最長となる景気回復で税収は過去最高水準を見込むが、歳出を賄うにはほど遠く、借金頼みの財政運営が続く。
政府は19年1月に召集予定の通常国会に予算案と関連法案を提出し、3月までの成立をめざす。歳出総額は7年連続で過去最大を更新した。

歳出膨張の最大の要因は19年10月の消費増税の対策だ。計2兆280億円を使う。消費の落ち込みを防ぐため、キャッシュレス決済する人へのポイント還元分に2798億円、2歳以下の子どもがいる世帯と低所得層向けのプレミアム付き商品券に1723億円を計上。防災・減災対策に1兆3475億円を充てる。
歳出総額の3割超を占める医療や年金などの社会保障費は1兆円あまり増えて34兆円に達する。高齢化に伴う社会保障費の自然増は4768億円で、消費増税の税収分を活用する教育無償化や社会保障の充実に7157億円を使う。公共事業関係費は9310億円増の6兆9099億円。当初予算では07年以来の高水準で前年度比の伸び率は15.6%に達する。
防衛関係費は7年連続で増え、過去最大の5兆2574億円。陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」や最新鋭ステルス戦闘機「F35A」など米国の高額装備品取得が総額を押し上げた。文教・科学振興費は5兆6025億円で4.7%増えた。
臨時措置と位置づける増税対策を除く19年度予算案の歳出総額は99兆4285億円。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始める22年度以降は社会保障費が跳ね上がるため「100兆円予算」が続く可能性がある。
歳入は、税収が18年度当初比で3兆4160億円増の62兆4950億円を見込む。消費増税などでバブル期の1990年度(決算ベースで60.1兆円)を超える。預金保険機構の資金繰り入れなどで税外収入は6兆3016億円で1兆3601億円増える。
新規国債の発行額は9年連続減る。総額は1兆324億円少ない32兆6598億円。公共事業費が膨らみ建設国債は約8580億円増の6兆9520億円になる一方、赤字国債は1兆8904億円減の25兆7078億円を見込む。堅調な景気と一時的な財源探しのおかげという側面が強い。
財政の健全化は遠く、税収で国債費を除いた政策経費をどれだけ賄えるかを示す国の基礎的財政収支は9兆2千億円の赤字。18年度は10兆4千億円の赤字を見込む。
21日の閣議では19年度の税制改正大綱も決めた。消費増税対策として住宅・車の減税措置を拡充。国・地方を合わせた減税規模は最終的に1720億円になる見込み。
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