豪雨被災の小学校跡、防災拠点に 福岡・朝倉

2018/12/20 9:06
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昨年7月の九州北部豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市は、今春閉校となった旧久喜宮(くぐみや)小学校の跡地を地域の防災拠点に整備する方針だ。避難所や備蓄施設を設け、グラウンドには被災者向けの分譲住宅も建てる。地域住民にとっては友人と出会い、多くを学んだ思い出の詰まる学びや。防災能力を高め、地域の絆を守る拠点に生まれ変わる。

跡地が防災拠点に整備される旧久喜宮小(福岡県朝倉市)

11月下旬の夕方、旧久喜宮小グラウンドでは子供たちが走り回っていた。「放課後や休みの日は、ここに集まってみんなと遊ぶんだ」。近くに住む市立杷木小学校5年の熊谷琥太郎君(11)はジャングルジムの上から笑顔で話した。

久喜宮小は豪雨前から、他の3校とともに新設の杷木小に統合されることが決まっていた。今年3月の閉校後、校舎は立ち入れなくなったが、グラウンドには今も地域の子供らが集まり、日暮れまで楽しげな声が響く。近所の人も散歩に訪れるなど地域の憩いの場だ。

昨年7月の豪雨被害では久喜宮小周辺も大規模な土砂崩れや流木を伴った河川の氾濫に見舞われた。市は学校跡地の活用方法を協議し、地域の防災拠点に整備する案をまとめ、地元と合意した。

市によると、校舎とプールは2019年度から解体。校舎跡は非常食や飲み水、土のうなどを備蓄する鉄筋コンクリートの防災施設に整備する。地域の催しや住民向けの防災研修などに利用する。プール跡は普段は駐車場で、非常時にトイレを設置できる防災広場にする。体育館は避難所として残し、21年度の利用開始を目指す。

約4千平方メートルのグラウンドは10区画程度に分割し、主に地区内の被災者に向けた分譲住宅を整備する。市との復興会議などの場では「豪雨被害後も地元に残りたい」と希望する住民は多く、今後さらに需要を調べる予定だ。

子供の頃に駆け回った学びやが防災拠点として生まれ変わることに、地元住民からはおおむね歓迎の声が多いという。学校近くに住むパート社員の女性(54)は「昨年の豪雨では水田と道路の境目が分からなくなるほど水があふれていた」と話し、恐怖の記憶は鮮明だ。「高齢者も多い地区の中心地にこうした施設ができるのは心強い」と話した。

会社員の井上未菜美さん(25)は旧久喜宮小の卒業生。「思い出が詰まった場所が変わるので、少しさみしい」とぽつり。いつも3歳の娘の保育園帰りに学校に立ち寄って遊ばせているといい、グラウンドがなくなることなどで「子供が遊べる場所も減ってしまう」と少し困り顔だが「豪雨などの自然災害がいつまた起きるかわからない。避難所は必要だと思う」と話した。

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