2019年1月18日(金)

欧州委、「合意なし」英離脱へ緊急措置案
金融・航空など 一時的な混乱緩和が柱

英EU離脱
ヨーロッパ
2018/12/19 23:02
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は19日、英国がEUとの合意がないまま離脱した場合に生じる経済活動や国民生活の混乱を和らげるため、緊急対応策をまとめた。金融サービスや航空など重要分野で混乱緩和策を打ち出した。2019年3月29日の英離脱まで約3カ月と時間切れが迫るなか、英議会の離脱合意案の承認のめどは立たない。EUとして最悪の事態に備える狙いだ。

「合意なし離脱」の場合、20年末まで英国が実質的にEUの単一市場・関税同盟に残り、現状の関係を維持する「移行期間」が適用されない。英金融機関によるEU域内でのサービス提供を巡って法的な「空白」が生じて取引が混乱したり、航空などの輸送がマヒしたりする恐れが指摘されている。

欧州委は19日、こうした混乱を緩和する緊急措置をまとめたEU指令案(法案)を加盟国と欧州議会に提案した。緊急措置はあくまで「一時的」な対応と位置づけた。

金融サービスではデリバティブ(金融派生商品)取引の混乱回避が課題だ。ロンドンは世界の取引の清算拠点となっており、ロンドン証券取引所グループ(LSE)傘下のLCHは固定金利と変動金利の交換取引などを行う金利スワップの清算で、世界シェアの9割超を占める。

「合意なし離脱」となれば、EU域内の金融機関は英国の清算機関を突如、使い続けられなくなる恐れがある。欧州委は緊急措置で、離脱後も1年間は、LCHなど英清算機関がEUの金融機関向けに清算業務を続けられるよう容認する。

航空分野では、合意なし離脱に伴って、英欧の航空会社が英欧間の運航権を失う恐れがある。英航空会社はEUや欧州各国の当局から許可を取り直すまでEU域内への運航ができなくなるからだ。EUの緊急対策では、英国発の旅客機のEU域内の飛行や着陸などを一時的に認める。

ただ、緊急措置の発動や停止などはいずれもEUが一方的に判断できる仕組みとした。企業や利用者にとっては先行き不透明な状況が続くことになりそうだ。欧州委は「合意なし離脱」への備えを加速させる一方で、3月29日までに英国との離脱協定を発効させて、無秩序な離脱を避ける道を引き続き探る方針だ。

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