2019年2月21日(木)

EU、イタリア予算案を承認 制裁回避、監視は継続

ヨーロッパ
2018/12/19 22:24
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は19日、イタリア側が再提出した2019年の修正予算案を承認した。当初案より財政赤字幅を縮小させたのを評価し、EU財政ルールに違反しているとして検討していたイタリアへの年内の制裁手続き入りは見送る。今後も引き続き監視は続けるとしており、対立の火種がなくなったわけではないが、主要国が制裁対象となる最悪の事態は当面回避された。

「理想的ではないが、現段階での制裁手続き入りは回避できる」。欧州委員会のドムブロフスキス副委員長は19日の記者会見でこう述べた。イタリアのコンテ首相は19日、議会で演説し「ここ数週間、我々は(EUと)互いの立場を近づけようと努力してきた。一方で3月の選挙で示した目標を後退させてはいない」と語り、EUの圧力に屈したわけではないとアピールした。伊ANSA通信が伝えた。

欧州委によると、イタリア側は修正予算案で、目玉政策の年金受給開始年齢の引き下げや、最低所得保障(ベーシックインカム)などの大枠は維持するものの、実行時期を遅らせたり、規模を縮小させたりする譲歩を提示。欧州委が「楽観的すぎる」と批判していた19年の経済成長率見通しも当初の1.5%から1.0%へ引き下げた。

欧州委側もイタリアの譲歩を受け、財政ルールを一時的に緩和する例外規定の適用を容認した。8月に北部ジェノバで起きた高架橋崩落事故などを受けたインフラ整備の強化などへの財政支出に「柔軟に応じる」(ユーロ加盟国の予算審査を担うモスコビシ欧州委員)方針を示した。

一方でドムブロフスキス氏は同日の会合で複数の欧州委員が制裁見送りへの慎重論を唱えたとも指摘した。イタリア側が支出抑制策を実行することが制裁回避の「条件」だと強調した。

イタリアの19年予算案を巡っては、6月に発足したポピュリズム(大衆迎合主義)政党が率いる連立政権がバラマキ色の強い公約の実現を優先。財政赤字を前政権が欧州委に公約していた国内総生産(GDP)比0.8%から3倍の2.4%へ拡大させた。

イタリアは再三の見直し要求に応じず、欧州委は11月、EUの財政ルールの「深刻な違反」につながるとして制裁手続き入りが「正当化される」と判断。年内にも制裁手続き入りを閣僚理事会に勧告する準備を進めていた。制裁手続き入りすれば、GDP比で0.5%の制裁金をイタリアに科す可能性があった。

こうした混乱でイタリアの長期金利が上昇(国債価格は下落)するなど金融市場の圧力もあって、イタリアは12月以降、強硬姿勢を転換。コンテ伊首相が12日に財政赤字をGDP比2.04%へ下げる修正案をユンケル欧州委員長に提示した。

フランスが反政府デモの沈静化を狙って財政赤字を拡大させ、EU財政ルールに抵触する可能性が高まったことも欧州委の判断に影響した可能性がある。イタリアだけに強硬姿勢をとり続ければ、2019年5月の欧州議会選に向けて「反EU」を追い風にポピュリズム政党が勢いづくとの懸念がくすぶっていた。

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