ヤマハ発、大型船外機の生産能力増強

2018/12/20 0:30
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ヤマハ発動機が稼ぎ頭の船外機事業を拡大している。米国で人気の高い大型船外機の生産能力を2021年12月期までの3年間で15%ほど伸ばす計画だ。袋井南工場(静岡県袋井市)を中心に増産対応を進め、収益の拡大につなげる方針だ。

袋井南工場では大型船外機を増産する(静岡県袋井市)

「フレキシビリティー(柔軟な生産対応)で5%、能力増強で10%の増産につなげたい」。臼井博文・上席執行役員マリン事業本部長は12月11日に行った中期経営計画の説明会で、21年12月期までの大型船外機の生産能力増強のイメージを語った。

船外機は袋井南工場のほか、ヤマハ熊本プロダクツ(熊本県八代市)とタイ・ヤマハ・モーターの計3拠点で主に製造する。袋井南は100馬力以上の大型機、熊本は中型機、タイは30馬力以下の小型機を生産する体制を目指し、生産品目の再編を進めている。

袋井南は現在生産している中型機を熊本に順次移管し、大型機の生産能力を引き上げる。さらに「金属部品の鋳造や加工の設備投資を進める」(松下徹・ME製造部長)ことで、増産体制を整える。

船外機の世界需要は年間約80万台で、このうちヤマハ発は約30万台とトップシェアを争っている。近年需要が伸びているのは大型機だ。同社は18年夏に過去最大の425馬力の製品を米国に投入するなど大型機シフトを進める。1馬力当たり1万円程度の高額品だが、米国の富裕層はボート1隻に複数の船外機を搭載し、猛スピードの航行を楽しむことも多い。

同社の船外機などマリン事業の18年12月期の売上高は前期比微減の3222億円、営業利益は8%増の645億円となる見通し。全体に占める割合は売上高は2割だが、営業利益は4割強を占める。売上高営業利益率は20%と高収益事業だ。大型機の販売を伸ばすことで、21年3月期の売上高は3740億円、営業利益は760億円に引き上げる計画だ。

ヤマハ発は二輪車で海外の需要地での生産が進み、海外生産比率は9割を超す。一方、船外機は国内生産比率が9割超だ。増産には人手不足が足かせになりそうだが、思わぬ加勢も期待できそうだ。

袋井南工場に近い本社工場地区(静岡県磐田市)で人手が余る可能性が出てきた。先進国向け大型二輪車を年間20万台生産しているが、日高祥博社長は今後3年間で「年間16万台でも損益を確保できるように固定費を削減する」方針。そして「人手が足りないマリンなどと人材をうまくやり取りできる」とも語る。

米国ではハイテク株がけん引してきた株高が一服し、株価が乱高下しているが、「減税効果などで富裕層の需要は堅調」(日高社長)という。ヤマハ発の経営は当面、船外機を中心に据えたかじ取りが続きそうだ。(浜松支局長 剣持泰宏)

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