2019年5月25日(土)

スケート場 なぜ関西で建設急増?(もっと関西)
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コラム(地域)
2018/12/20 11:30
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関西で通年営業する屋内スケート場の建設が2カ所で進んでいる。京都府が推進する京都アイスアリーナ(仮称、京都府宇治市)と、関西国際空港の対岸の関空アイスアリーナ(大阪府泉佐野市)だ。いずれも2019年開業を目指している。聞けばスケート場が同じ地域で2カ所新設されるのは最近では全国でも珍しいという。「寒冷地でもない関西でなぜ」「採算は大丈夫か」。疑問点が次々と湧いたので取材した。

「京都府は通年営業のスケート場がない」(京都府文化スポーツ部の山本敏広理事)。「選手育成にスケート場がもっと必要」(森本靖一郎・関空アイスアリーナ代表理事)。建設主体の当事者から強調されたのは、関西ではスケート場が足りないという点だ。

スケート場運営大手、パティネレジャー(東京・豊島)の関志津男執行役員が説明する。「寒冷地で人気があるスピードスケートやアイスホッケーと違って、フィギュアスケートは寒冷地ではなく都市部の方が競技人口が多いのです」

深夜の貸し切り営業も珍しくない(兵庫県西宮市のひょうご西宮アイスアリーナ)

深夜の貸し切り営業も珍しくない(兵庫県西宮市のひょうご西宮アイスアリーナ)

日本スケート連盟によると、18年のフィギュアスケートの登録競技者は全国で5200人、このうち近畿2府4県は1112人と全体の21%を占めた。近畿の全国に占める人口の比率は16%なだけに、人口比で競技者が多いことがわかる。10年間の競技者数の伸びも全国は21%なのに対し、近畿は25%も伸びた。最近でも紀平梨花選手や宮原知子選手ら関西出身者の活躍が目立つ。

競技人口が多い一方、関西のスケート場は直近15年度で12カ所(文部科学省調べ)にとどまる。1施設当たりの競技者数は平均約92人と、全国平均の3倍に達する。さらに関西はスケート場の営業は冬季限定という施設も多い。この結果、既存施設の多くは「営業時間外は早朝、深夜とも貸し切り予約でいっぱい」(明治スポーツプラザ浪速アイススケート場=大阪市浪速区)になっている。

13年にオープンしたひょうご西宮アイスアリーナ(兵庫県西宮市)は通年営業の施設だ。小学5年生の男子をほぼ毎日練習で連れてくるという主婦は「この施設ができて大助かりです」と話していた。

では今はスケート場が足りなくても、長期的な経営は大丈夫なのだろうか。1985年に全国でスケート場は738カ所あったが、現在は約170カ所まで減った。関西でも醍醐スケート(京都市)などが姿を消した。高度成長期のブームが一巡したほか、多くは「20年前後の施設老朽化のタイミングで設備更新できなかった」(スポーツ科学を研究する追手門学院大学の上林功准教授)からだ。

だが、新設のスケート場は電気代の低減で工夫を凝らしている。スケート場の運営経費は電気代と人件費がほとんどだが、二酸化炭素(CO2)を用いた自然冷媒の普及で「最近は以前のものと比べ約3割の省エネが期待できる」(パティネレジャー)。運営コストの低減から不況時の耐性ができているという。

集客面でユニークな発想が関空アイスアリーナだ。関空の対岸という立地を生かし海外へ遠征するスケートチームの直前合宿や、海外チームの利用を見込む。建設を支援する泉佐野市の甲田裕武理事は「東南アジアでもスケートブームが起きており、国内外からの利用が期待できる」と話す。

関西は大正時代に人工スケート場を開設したほか、関西大学が06年に大学としてスケート場を初めてつくるなど、国内のスケート場の歴史を刻んできた。現在のスケート場新設は、縮小が続いたスケート場市場の節目かもしれない。(大阪経済部 山本修平)

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