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Jリーグならではの「優位性」とは…
FIFAコンサルタント 杉原海太

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2018/12/20 6:30
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ある競技がリーグやクラブ、球団、チームを商品として売れるものに組み立てていくとき、今や絶対に外せないのが国外のマーケットだろう。海外の市場でも売れる製品設計を目指すのは極めて今日的なテーマに思える。

グローバル化の先兵のように思われているサッカーにしても、たとえば、1993年にJリーグが発足した当時、ここまで国際化は進んでいなかった。Jリーグに限らず、世界中のリーグが93年当時はマーケットをもっぱら自国内に想定していたように思う。

サッカーは各国のFA(フットボールアソシエーション)、つまり協会系の力が強く、FA同士の戦いである代表戦やワールドカップ(W杯)の価値が一番高かった。それが欧州を先頭にクラブサッカーのビッグビジネス化が90年代後半から急速に進み、レアル・マドリードやFCバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッドなどが国際的なクラブになって、その主戦場である欧州チャンピオンズリーグ(CL)がとてつもない価値を持つようになった。

欧州CL1次リーグで決勝点をアシストし喜ぶユベントスのロナルド(右)。欧州CLはW杯に引けをとらぬ価値を持つようになった=AP

欧州CL1次リーグで決勝点をアシストし喜ぶユベントスのロナルド(右)。欧州CLはW杯に引けをとらぬ価値を持つようになった=AP

避けがたいグローバル化の影響

要約すれば、サッカーの世界は「代表」に「クラブ」が追いついて、世界の市場をめぐるせめぎ合いが、臨界点に近づきつつある状況になっている。

海外のマーケットをどれくらい意識するかは競技によって濃淡がある。取り巻く状況はそれぞれの競技によって異なるからだ。ただ、どんな競技もグローバル化の影響は避けがたく、サッカー界が直面しているような状況に早晩、ぶち当たる気はしている。それならば、海外マーケットもにらんで、あらゆるものを設計していった方がいいだろう。

野球界はサッカー界に比べて、国際サッカー連盟(FIFA)や日本サッカー協会(JFA)のような統括機関のリーダーシップが弱い。実質的に一番の力を持つのは米国の大リーグであり、日本のプロ野球はそこに選手を吸い取られる状況が固定化している。大きなマーケットが米国と日本にほぼ限られている中で、米国のスーパーパワーはさらに突出して大きい。そことどう向き合っていくかは半永久的な課題だろう。

バスケットボールは野球とサッカーの中間くらいという感じ。米国のプロバスケットボール(NBA)は強いけれど、国際的な統括機関である国際バスケットボール連盟(FIBA)も一定の影響力を持つ。

日本の男子プロバスケットボール(Bリーグ)に対して思うのは、サッカーのまねをそれほどする必要はないのでは、ということ。競技によって「アジア」の位置づけは違うし、1国1リーグの枠組みを見直してもいいのではないかと思う。他のリーグとの国境をまたぐような戦略(たとえば、東アジアリーグのようなもの)を組織してもいいのではないか。

国境をまたぐリーグはサッカーの場合は原則的に難しい。英国のプレミアリーグにイングランドではないウェールズのクラブが参加している例はあるものの、これは特殊なケースだろう。

東南アジアに「SUZUKI CUP」という大変人気のある代表チーム同士の戦いがある。東南アジアのナンバーワンを決める大会で、ある意味、W杯予選よりも盛り上がるくらいである。それで、このクラブ版をやろうという動きがあったが、実現に至っていない。

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