2019年3月21日(木)

欧州にデジタル課税の波、仏は19年1月から

2018/12/18 23:00
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欧州各国で大手IT(情報技術)企業に対する「デジタル課税」の導入が広がっている。英国に続き、フランスが17日、2019年1月からの導入を発表した。米グーグルなどは欧州でも国境をまたいで莫大な利益を稼ぐ一方、各国での納税額が少ないとの不満が強い。国際的な課税ルールの見直しも進むが、米国などの反対で作業は遅れており、しびれを切らす国が増えている。

マクロン仏政権は反政権デモへの妥協策に伴い、財源捻出の必要に迫られていた=ロイター

「ネット広告、個人情報の販売などに課税したい」。ルメール仏経済・財務相は17日の記者会見で、同国の消費者や企業を対象としたインターネットサービスを対象に年明けから課税すると表明した。年間の税収は5億ユーロ(約640億円)を見込むという。

デジタル課税はネットサービスの国別の利用者数や契約数、売上高などに応じて各国が税金を課す仕組み。現行ルールでは国内に工場や営業所がなければ法人税を課すのは難しいが、グーグルやフェイスブック、アマゾン・ドット・コムなど物理的な拠点がなくても利益を生む巨大IT企業が台頭している。

ルメール氏は地元テレビの取材に「金を持っているのはデジタルの巨人たちだ。仏消費者・市場のおかげで多額の利益を上げているのに、払う税金は他業種に比べて14%低い」と新税導入に意欲を示していた。

マクロン政権が税率など詳細が固まらない段階で新税を急きょ発表したのは、燃料税引き上げ断念など反政権デモへの妥協策で財政赤字拡大が見込まれ、財源捻出を迫られたという事情もある。だが根底にあるのは、デジタル課税を巡る欧州連合(EU)の議論の遅れへのいらだちだ。

EUは加盟国共通のデジタル課税ルールの創設を目指し、ネット広告の売上高などに3%の税金を課す案などを検討してきた。だが低税率で米IT大手の拠点を誘致してきたアイルランドやフィンランド、デンマークなどが反対。12月に入り、当初目標だった18年末までの合意を断念した。

デジタル課税推進派の国々は失望し、独自課税に雪崩を打ち始めた。英国は20年4月から検索エンジンやネット通販などの売上高に2%の税率を課す新税の導入を決定済み。スペインやイタリアなど10カ国以上のEU加盟国も、EUでの合意が遅れれば独自課税に踏み切る構えを見せている。域内のデジタル市場統合を進めてきたEUにとって大きな痛手となりかねない。

推進派の国々はデジタル課税にはITの急速な普及に対応しきれていない従来の税制の欠点を補う利点があると主張する。米国や中国に集中しかねないITに関わる税収を世界に再配分する機能があり、公正な競争環境を整備できると評価する意見もある。

一方、米国や中国はIT産業の発展を妨げるなどとして、デジタル課税に強く反対している。各国が独自の課税ルールを設ければ、二重課税になりかねないとの批判もある。経済協力開発機構(OECD)や20カ国・地域(G20)でも20年までに共通のルール作りを目指すが、合意にこぎ着けるのは難しいとの見方が多いのが実情だ。

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