ロシアの介入、16年大統領選後も継続 米議会報告書

2018/12/18 17:21
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【ワシントン=永沢毅】米上院情報特別委員会が17日公表した報告書で、ロシアが交流サイト(SNS)などを使って2016年米大統領選に介入した具体的な手口が明らかになった。トランプ大統領の当選を支援する手法は巧妙かつ広範囲にわたり、政権発足以降も拡大していたことが判明した。米国の分断の深まりは20年の次期大統領選にも影を落とす。

「黒人のビジネスを支援しよう」などのハッシュタグをつけ、写真共有サイトのインスタグラムで自然派のスキンケア商品やTシャツの購入を推奨。氏名や住所、携帯電話番号といった個人情報を集め、組織化してアフリカ系米国人への働きかけに活用する――。報告書が示したのはこんな手の込んだ介入の手口だ。

ロシアの政府系組織インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)が16年大統領選でトランプ氏を支援し、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官を追い落とす目的でSNSを使ったことは既に判明している。冒頭の事例は、IRAがアフリカ系やヒスパニックなどの人種、年齢層で工作対象を細分化し、投票意欲を阻害したり政府への信任を低下させたりしていた手法の一端を浮き彫りにした。

報告書によると、IRAはとりわけアフリカ系米国人への働きかけに重点を置いたという。フェイスブックに設けた81のアカウントのうち、アフリカ系を標的にしたのは30で、約120万人のフォロワーがいた。アフリカ系などマイノリティーは民主支持者が多く、人種間の分断をあおってヒラリー氏への投票を阻もうとした狙いが透ける。

報告書は、13年ごろに始まったIRAの介入が16年大統領選にとどまらなかったことも明かした。例えばフェイスブックへの投稿数(月平均)は16年に2442、政権発足後の17年は4234とむしろ増加。インスタグラムも、16年の2611から17年は5956と2倍以上に増えている。

例えば17年4月のシリア攻撃に際し、IRAは当時のマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)を攻撃。マクマスター氏が情報を操作し、共和党のマケイン上院議員(故人)と結託して15万人の米軍をシリアに送り込もうとしているとの不確かな情報をSNSなどに流布した。

米議会ではロシアの介入の舞台として主にフェイスブックやグーグルが議員からやり玉にあがったが、報告書はIRAがインスタグラムを情報操作により効果的に使っていたことも指摘。インスタグラムでの投稿シェアやコメントは1億8700万回にのぼり、7650万回のフェイスブックを大きく上回る。ロシアによるフェイスブックの活用が明るみになって以降、インスタグラムにシフトしたとみられる。

報告書は英オックスフォード大とSNS分析会社、そしてサイバーセキュリティー企業がそれぞれまとめ、2種類を上院委に提出した。

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