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体操協会と塚原夫妻へ消えぬ現場の不信感
編集委員 北川和徳

2018/12/19 2:00
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体操協会のパワハラ騒動で、同協会の第三者委員会は塚原光男・千恵子夫妻の宮川紗江選手(19)へのパワハラ行為を認めなかった。千恵子氏の「宗教みたい」という軽率な言葉だけでもパワハラには問える。異論はあるだろう。ただ、塚原夫妻の言動が暴力的なコーチの影響下にある選手を説得するためだったとすれば、妥当な結論ではないかと考えている。

パワハラか否かばかりが話題になったが、今回の騒動が明らかにした見過ごせない問題はほかにもある。女子体操の各クラブの選手やコーチが抱く、協会主導の強化態勢への不信感だ。塚原夫妻へのと言ってもいい。

体操協会の山本宜史専務理事は10日、臨時理事会後に記者会見し、塚原夫妻の一時職務停止処分を解除したと明らかにした=共同

体操協会の山本宜史専務理事は10日、臨時理事会後に記者会見し、塚原夫妻の一時職務停止処分を解除したと明らかにした=共同

宮川選手の記者会見後、塚原夫妻への批判が体操関係者から噴出した。暴力コーチの存在を利用して彼女を自分たちが運営する朝日生命体操クラブに引き抜こうとしているというものだった。

その真偽はわからないが、多くのクラブが自分の選手も引き抜かれるという被害者意識を持っていると感じた。

普段はライバルとなるクラブのトップが、その立場のままナショナルチームの強化責任者として選手選考などの全権を握っているとしたら、他のクラブの選手やコーチに不信感が広がるのは当然だろう。

第三者委の報告書はパワハラの認定だけでなく、この問題もかなり詳しく検証している。

女子の強化本部長である千恵子氏が、選手を選ばれる側でもある朝日生命クの監督である点について「このような利益相反的な状態は、(他チームの)選手や指導者に、強化本部長という地位を有利に活用しているという疑念を持たせ、不信感の原因になっていた」と指摘した。

もっとも、五輪で入賞を目指す強化ができる指導者は乏しく、利益相反的な指導者が強化本部長になるのも理解できる、と逃げ道も残した。

体操協会は塚原夫妻の一時職務停止処分を解除して、強化態勢は元通りとなった。そうしながら今後、パワハラ以外の理由で2人が懲戒処分を受ける可能性はあるという。世間の反応をうかがっているのかと疑ってしまう。これで現場の不信感が払拭できるとはとても思えない。

(2020年東京五輪まであと583日)

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