ロシア、SNSに大量投稿 米大統領選で介入工作
米上院の第三者機関が報告書
【ワシントン=中村亮】米議会上院の情報特別委員会は17日、外部の2つの第三者機関がまとめたロシアのネットでの選挙介入の実態に関する報告書を公表した。ロシアが2016年の米大統領選に影響を及ぼすため、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に大量の投稿をしたほか、人種や思想によって米国民の分断を図っていたと指摘した。
報告書はサイバーセキュリティー会社と、英オックスフォード大とSNS分析会社の研究チームがそれぞれまとめた。具体的な行動を勧告する内容ではないが、超党派の報告書は米政界で大きな重みを持つ。
偽情報を流すロシアの政府系組織インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)が関与したフェイスブックやツイッターなどの投稿の分析によると、IRAが最も働きかけた対象はアフリカ系の有権者だった。「投票しても不平等や貧困は変わらない」との考えを広げて投票率を下げようと試みた。
アフリカ系市民には民主党支持者が多く、結果的にトランプ氏に有利に働いたとみられる。IRAが民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官について多くの非難の投稿を出したとも認定した。一方、保守派や右派の有権者には不法移民対策や個人の銃保有の重要性を強調し、トランプ氏への投票を呼びかけた。
20年の大統領選に向け、外国による選挙介入の防止は大きな課題だ。上院情報委トップの共和党のバー議員は17日の声明で「SNS企業の間で偽情報キャンペーンに関する情報共有を増やしていく必要がある」と訴えた。