日立、英原発計画見直し 英に追加支援要請も難航必至

2018/12/17 19:05 (2018/12/18 1:19更新)
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日立製作所は英国で進める原子力発電所の新設事業を巡り、英側に追加支援を要請する。原発に対する世界的な逆風を背景に、日本での資金集めが難航しているためだ。2019年1月中に交渉がまとまらなければ撤退も検討する。海外での原発建設は挫折が相次ぐ。進行中の最後の案件である英事業も実現しなければ原発輸出政策は岐路を迎え、技術維持など産業全体に影を落とす。

日立の英原発事業を巡っては中西宏明会長が17日、経団連会長としての記者会見で「(現行の枠組みでは)もう限界だ、と英国政府に伝えた」と述べた。英側への要請は枠組み見直しを求めるものだ。

日立は日英両政府の支援を受けて英中部に原発2基を新設する計画を進めてきた。19年内に経済合理性を見極めて着工の可否を判断する予定だったが、事業環境の悪化を受けて判断時期を半年以上前倒しする。

背景には再生可能エネルギーを使った発電コストの低下がある。原発の相対的な競争力は後退する一方だ。英政府は原発でつくった電気を定額で買い取る方針だが、日立の原発から買う単価は先行する他原発より低い。

枠組み見直しの柱が、新設事業を担う日立の英子会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」の株主構成だ。現在は日立の全額出資だが、リスクを減らすため3割程度まで引き下げるのを日立は事業継続の条件に掲げている。英国政府・企業、日本政府・企業、日立の3者がそれぞれ3千億円を出資することで日立と英政府は合意していた。

日本での出資者集めは難航している。東京電力ホールディングス(HD)は出資しない方向で検討している。東電の方針は中部電力など他社にも影響する可能性が高い。他に出資者を確保できる見込みがないことから英側に負担を求める。

ただ、英国政府も日立の要請を簡単に受け入れられる状況ではない。3兆円に上る総事業費のうち2兆円余りを融資する方針を既に示しており、さらなる負担は国民の反発につながりかねない。メイ政権は欧州連合(EU)からの離脱を巡って支持率が低下しており新たな火種は避けたいとの意向も働きそうだ。交渉は難航が必至だ。

日本政府は海外での原発建設をインフラ輸出の柱として推進してきた。だが、11年の東日本大震災で起きた原発事故をきっかけに原発を巡る環境は大きく変わった。国内では今でも新増設を公式に容認できていない。原子力の技術や人材を残そうと、海外市場に照準を合わせて官民一体で原発を売り込んできた。

だが、最近では三菱重工業がトルコ政府と進めていた原発建設を断念する方向で最終調整に入るなど、実現した案件はない。原発産業の足腰が弱まれば既存原発の再稼働や廃炉などにも影響が出かねない。戦略の抜本的な見直しが迫られる。

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