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根拠なき「民」への不信(一目均衡)
編集委員 西條 都夫

2018/12/17 19:09
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横浜市西部の川井浄水場を訪ねたのは夏のことだった。水質を監視するモニタールームの一角に水槽があり、クロメダカの群れが涼しげに泳いでいた。「炭鉱のカナリア」と同じく、メダカも環境悪化に敏感に反応する種の一つ。「この水槽には浄水場から水がひいてあって、万一何かで水が汚染されると、メダカが変調をきたす。私たちは彼らと一緒に水の安全に目を凝らしています」と担当者が説明してくれた。

川井浄水場は横浜の上水道のほぼ6分の1を賄う大型の拠点だが、運営主体は市の水道局ではなく、水処理の国内最大手メタウォーターなどが出資する特別目的会社(SPC)だ。2014年に稼働した新型浄水場の設計・建設を手がけただけではなく、14年から34年までの維持運営を市から任されている。

公営が基本の水道に民の力を借りるのは、官にない技術やノウハウを導入するためだ。従来の水処理は川などからとった水をプールに寝かせ、不純物を沈殿させる凝集沈殿方式が主流だったが、広大な用地が要るのが難点。そこでSPCは膜処理方式という新技術を導入して、省スペース型の設備を実現した。

SPCが浄水場の運営にあたって既に4年がたつが、「水質や供給量などに問題はなく、適切に運営されている」と横浜市水道局の幹部は言う。メダカと一緒に水質を見張る人も公務員ではなく、SPCの従業員。「官」の出番は業務がルールどおりに実行されているかをチェックする毎月1回の検査が中心だ。

川井浄水場について詳しく紹介したのはほかでもない。先の国会で成立した、水道の民間委託をしやすくする改正水道法について、「営利目的の企業に水道を任せると、安全の低下や料金値上げにつながる」という反対論がにわかに盛り上がったからだ。

だが、本当に民は信頼性に劣るのか。メタウォーターによると、同社は川井をはじめ日本各地で約30カ所の水道関連設備を運営しているが、大きなトラブルは1件もないという。海外の民営化の失敗例に学ぶのは重要だが、「だから官民連携をやめる」ではなく、そんな失敗を繰り返さないための仕組みを考えるのが、本来の方向性だろう。

もう一つ最近のニュースで「民への不信」を色濃く反映したのが、官民ファンドの産業革新投資機構の迷走だ。機構幹部の報酬をめぐり、監督官庁の経済産業省と機構が一度は合意したが、首相官邸側から「こんな高額報酬では国会審議がもたない」という天の声があってひっくり返った、というのが真相だ。

しかし、機構が有能な人材を集め、リスクマネーの提供を通じて、日本の産業高度化に寄与するなら、機構の提示した報酬は高すぎるとは言えまい。「官民ファンド」は霞が関でちょっとした流行になったが、今回の一件で尻すぼみになるのだろうか。いずれにせよ、民への根拠なき不信は政策選択の幅を狭めるだけでなく、日本経済の活力をそぎかねないだろう。

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