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割安な中小型株選びのコツは 葛原氏(運用の達人)

2018/12/19 12:00
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投資信託の運用を担うファンドマネジャーは、目まぐるしく変化する相場と常に向き合い、成績向上を目指して格闘する運用のプロだ。「達人」の相場観や実績に裏打ちされた信念は、資産形成に取り組む個人投資家にとってもヒントになる。

今回話を聞いたのは、三井住友アセットマネジメントで「三井住友・げんきシニアライフ・オープン」などを運用する葛原健吾シニアファンドマネージャー。葛原氏が得意とするのは、主に国内の中小型株を対象にしたバリュー投資(割安株投資)だ。

■米金利上昇で世界の株価調整、「バリュー相場」へ

三井住友アセットマネジメントの葛原健吾シニアファンドマネージャー

三井住友アセットマネジメントの葛原健吾シニアファンドマネージャー

――足元の株式相場をどうみていますか。

「米国の金利上昇を受けて『低金利は続かない』という認識が市場に浸透してきました。金利が上がると株式益回りが見劣りするので、世界的に株価が調整しています。金利上昇局面では割安株が選好される『バリュー相場』に傾きやすくなります。バリューの中でも成長力がある銘柄を見つけるのがポイントになってくるので、当面はそれを逸脱しないようにしたいです」

――世界景気の先行きに不透明感が広がっています。

「米リーマン・ショック後の回復が10年続いていたので、そろそろ回復が一服してもおかしくありません。一方、中国の財政投資や米国のインフラ投資など、景気の下振れを防ぐための各国の財政出動がより長く続くシナリオもあり得ます。来年の景気が幾分下向くかこのまま上向きでいくか、どちらも可能性は半々で考えています」

■中小型株の魅力は「業績が株価に直接影響」

――運用は主に中小型株投資ですか。

「はい。中小型株は業績の動向がダイレクトに株価に影響するところが魅力です。大型株だと業績のほかに、マクロの経済指標や為替の動向などにも株価が左右されます。会社を訪問し、人と会って話を聞きながらボトムアップ型で銘柄を選んでいるので、企業がやっていることが直に株価に反映される中小型株にひかれます。運用しているファンドは大型・中小型のミックスもありますが、全体として中小型が中心です」

――なぜ、ファンドマネージャーになったのですか。

「大学卒業後は東京短資に入社し、その後はいちよし経済研究所、日興シティグループ証券(現・シティグループ証券)で中小型株のアナリストをしていました。アナリストは分析した内容を顧客に説明して回るのが主な仕事で、自分で株式の売買はできません。自分で分析した銘柄を実際に買ってみたいという思いがわいてきたので、仕事として株式が売買できる現職のファンドマネージャーに転職しました」

■「営業利益率」「予想達成度」「PEGレシオ」を重視

――銘柄候補を選ぶときに重視する指標は。

「一つは営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)です。営業利益率が高い会社は競争力が高い会社です。過去10年くらいのこの指標を見て、変化率が上がっている銘柄を選びます。競争力の伸びは株価上昇の原動力になります」

「もう一つは過去の業績予想の達成度合いです。期初の予想と実績を比べていくと、その会社の業績の変化がよくわかります。例えば、ずっと計画未達だった会社が急に達成できるようになったら、その年に社長交代で経営方針が変わっていたり、新商品が出ていたりといったケースがあります。過去の予想と実績の対比をさかのぼり、その背景を探ることで今後の業績に影響するような変化を見つけることができます」

――組み入れ銘柄を絞り込むポイントは。

「候補の中から実際に組み入れるのは、PEGレシオが低い銘柄です。PEGレシオは、株価が1株利益の何倍かを示すPER(株価収益率)を1株当たりの予想利益成長率で割ったレシオです。利益成長率の予想は、電話や訪問などの取材で把握した定性情報をもとにして、独自に今後3年分を算出します。PEGレシオが低いということは、利益の伸びしろがあるのに株価が安く放置されている銘柄といえます」

――3年先の業績などはどうやって予想するのですか。

「過去のデータや会社説明会で得た情報などを参考に判断します。その会社の市場シェアや競争力などを踏まえながら、今のビジネスモデルが3年後も収益を生み出せるかを軸に予想を立てます」

■買うときにシナリオを記録、決めたことを続ける

――運用で大切にしていることは。

「人間はすぐ忘れてしまいます。ある銘柄を最初に買うときには、どうなったら売るかも含めてシナリオを立てますが、株価が上がるとその先もずっと上がると思って持ち続けてしまう。だから最初の段階で必ず買った理由や3年後の株価水準の目安などを記録するようにしています。後から振り返ることができるようにしておき、当初のシナリオを達成したら売却し、逆にそのシナリオに合わなくなった場合も売るようにしています。自分で決めたことを続ける。この繰り返しです」

「もう1つ大事にしているのは、受益者の方と対面できるセミナーなどに参加することです。自分がどんな思いで運用しているか、どうしてその銘柄を組み入れたのかなどについて具体例を交えながら説明し、理解してもらうよう心掛けています。運用成績が芳しくないタイミングと重なることもありますが、そんなときも自分のルールは変えません」

――ファンドマネージャーに必要な資質はなんですか。

「きちょうめんすぎないことです。個別銘柄に投資するとき、初めから全部を完璧に知る必要はありません。限られた時間内に集めた情報をもとに良いと判断したら投資します。保有して確信が強まれば買い増せばいいし、違ったと思えば売ればいいのです。また底値で買おうと思い、タイミングにこだわりすぎてもいけません。私はいいと思う銘柄を時間分散で継続的に買い増していきます。個人投資家にとっても、タイミングが分散できる積み立て投資は手堅い運用手法だと思います」

(QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

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