米中摩擦、アフリカに飛び火 経済支援から安保まで

2018/12/15 5:04
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【ワシントン=中村亮】トランプ米政権がアフリカで中国に対抗する姿勢を鮮明にしている。13日発表した「アフリカ新戦略」では透明性の高い投資・貿易を推進すると強調し、インフラ整備の支援で債務を負わせてアフリカ諸国に影響力を行使する中国を強くけん制した。各国の自衛力を高める支援を重視し、中国との対立が深まるアジアに米軍を重点配置する戦略も後押しする。アジアを主戦場とした米中摩擦はアフリカにも影響が広がってきた。

13日、ボルトン米大統領補佐官はPKOへの支援打ち切りを検討すると表明した(ワシントン)=AP

「アフリカ諸国が中国政府の捕虜のようになりうる」。ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は13日の講演で、経済協力と引き換えにアフリカ諸国への内政干渉を辞さない中国に警戒感を示した。インフラ案件などの受注に賄賂を使っていると糾弾し「最終的には中国の世界支配につなげようとしている」と断じた。

米政権が、インフラ支援で自国の国益に資する契約を各国と結ぶ手法を「債務漬け外交」と評したのは主に中国とアジア諸国の関係を念頭に置いてきた。だが「債務外交は民主的な統治ができていない国を標的にしている」(米財務省関係者)のが特徴で、途上国が多いアフリカもターゲットになってきた。とくに最近は、中国は対米貿易・投資が停滞し、アフリカ市場に活路を見いだしており、米政権も目配りが必要になっていた。

ボルトン氏がアフリカ開発の「悪い事例」としてあげたのがアフリカ東部のジブチだ。対国内総生産(GDP)比の対外債務残高は2016年に85%と2年間で35ポイントも上がり、大部分が中国に対する債務だと指摘。中国は経済協力の拡大もテコに17年には海外初の軍事拠点をジブチに設けた。

この軍事拠点付近には、北アフリカやアラビア半島の治安維持にあたる米軍の駐留拠点があり、中国軍が米軍の動向を監視しているとの懐疑論が根強い。米国防総省は今年春に米軍機の操縦士2人が中国軍からレーザー照射を受けて目を負傷したと明らかにした。「深刻に受け止めている」として中国政府に抗議する事態に至った。

安全保障協力では、ボルトン氏は「アフリカ各国が主体となって平和や安全を確保できるようにする」と語った。米国が支援するサヘル地域の5カ国合同軍を引き合いにテロや人身売買の撲滅に寄与していると評価し「地域での共同防衛をさらに促していきたい」と意欲を示した。

アフリカ各国に自衛力強化を求めるのは、テロとの戦いから中国やロシアへの対抗に軸足を移す米軍の戦略の一環だ。米国防総省は11月中旬、米軍アフリカ司令部に配置する人員7200人を数年間かけて10%削減することを明らかにした。「中国を戦略的な競争相手」と位置づけた国家防衛戦略を引き合いに「優先順位の高い政策を進めるためだ」と理由を説明した。

軍事協力に充てる資金も成果がなければ削減する。ボルトン氏はアフリカでの国連平和維持活動(PKO)は「非生産的だ」と断じて支援の縮小を検討すると表明した。「国連は平和維持部隊を派遣して思考停止に陥る」と指摘し、紛争解決に寄与していないとこきおろした。米国はPKOへの拠出金負担の削減を探っている。

ボルトン氏はアフリカ外交は「最重要だ」と強調したが、トランプ大統領も同意しているかは不確かだ。10月のアフリカ外遊に参加したのは大統領夫人のメラニア氏だけだった。18年1月にはアフリカ諸国などを「(不衛生な野外の便所などを意味する)肥だめのような国」と表現。トランプ氏は発言を否定したが、アフリカ諸国が猛反発した。

中国はすでにアフリカ各国と深い関係を構築しており、トランプ政権のアフリカ外交は周回遅れの感が否めない。巻き返せるかはトランプ氏の本気度にかかっている。

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