日銀12月短観、北陸3県 景況感2期ぶり改善 先行きは悪化見通し

2018/12/14 19:00
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日銀金沢支店が14日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)は全産業の業況判断指数(DI)がプラス18となり、前回の9月短観に比べ4ポイント改善した。改善は2期ぶり。繊維や化学など製造業の景況感が堅調だった。ただ米中貿易戦争の影響に伴う世界経済への懸念から先行きの景況感は大幅に悪化した。

業況判断指数は景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値を指す。調査は11月13日~12月13日に実施し347社が回答した。

製造業のDIはプラス24と前回より5ポイント改善した。繊維は産業用や建設資材、高機能衣料向けの受注が伸びた。化学は後発薬や電池向け素材を中心に生産が上向いた。機械や電子部品関連は横ばいだった。

非製造業は2ポイント改善しプラス13。民間企業の旺盛な設備投資意欲や北陸新幹線の延伸に伴う工事量の拡大を映し、建設や不動産の業況が上向いた。人手不足などを背景に運賃の引き上げが進んだ運輸・郵便も改善に転じた。

一方、先行きのDIは全産業でプラス12と6ポイントの悪化見通しとなった。製造業は7ポイント悪化のプラス17を見込む。米中摩擦などへの懸念や原材料コストの上昇傾向を背景に、機械や電子部品、化学などの主力業種が軒並み悪化予想となった。

記者会見した宮田慶一支店長は「企業マインドはしっかりしており、原油価格の上昇が落ち着いていることも好材料」と指摘。一方で「海外需要の鈍化も懸念され、企業収益予想は増益と減益の二極分化がみられる」とした。

「先行きに停滞感がある」。繊維向けの薬剤などを手掛ける日華化学の担当者はこう語る。同社は精練剤や難燃剤といった製品を米国の工場で生産し、原料を中国で仕入れている。米国の関税引き上げに伴う調達コストの上昇が利益の圧迫要因になり「仕入れルートの変更を検討している」。

景気のリスクとして警戒される米中貿易戦争と中国経済の減速。北陸の製造業にも徐々に影響が顕在化してきた。電源装置を製造するコーセルの谷川正人社長は「予想以上に受注が減ってきた」と厳しい表情だ。アジアの製造業で投資の先送りが広がり、工作機械や半導体製造装置向けの電源の需要が急減。今期の業績予想の下方修正を迫られた。

北陸には機械や電子部品工業が多く集積する。工作機械メーカーの中村留精密工業(石川県白山市)は「中国で設備投資が落ちているのでは」と懸念。電子部品も新型iPhoneの販売不振に加え、中国の華為技術(ファーウェイ)製通信機器を巡る摩擦が「業界全体として大きなインパクトになりそう」(福井県内の機器加工会社)との声がある。

もっとも米国など先進国の景気は好調で、北陸経済を下支えしている。国内外の受注が活発という工作機械メーカーのキタムラ機械(富山県高岡市)は「(生産の米国回帰で)米国の製造業が盛り上がることを期待している」と話す。

ネックとなるのが深刻な人手不足だ。コマツ粟津工場(石川県小松市)は12月に示した2018年度の建機生産台数を、6月時点の見通しから2%ほど引き下げた。米国向けを中心に受注は高水準だが「協力企業の人材確保が難しく、生産を増やしたくても増やせない」(岡本望工場長)という。

事情は非製造業も同じだ。建材販売や内装工事を請け負うタッセイ(福井市)は「(人手不足で)仕事を断っている。人件費が高くてもいいので職人に来てほしい」としている。

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