政府がAI原則「人間中心」 個人情報保護・説明責任を重視

2018/12/13 19:30
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政府は13日、人工知能(AI)の活用法を話し合う「人間中心のAI社会原則検討会議」(議長・須藤修東大教授)を開いた。個人情報保護や説明責任などAIを使う際の7原則をまとめた。「人間中心」を第一に掲げ、国家が主導してデータを集める中国との違いを示した。2019年の20カ国・地域(G20)首脳会議で発信し、国際ルール策定に関わる狙いだ。

検討会議では「人間中心のAI原則」について話し合われた(13日、内閣府)

検討会議では「人間中心のAI原則」について話し合われた(13日、内閣府)

7原則には(1)人間中心(2)AIの判断が差別的にならないように判断過程を説明(3)個人情報の慎重な扱い(4)公正な競争環境の確保――などを盛り込んだ。「国などの立法・行政機関が留意すべきだ」と強調し、今後の政策づくりや法規制、運用の際に順守するよう求めた。パブリックコメント(意見公募)を経て18年度末に正式決定する。

AIは「深層学習(ディープラーニング)」と呼ばれる技術を使い、大量に学習したデータから精度の高い結論を素早く導き出すことができる。

一方でなぜ結論に至ったかの過程は外部からわかりにくい。AIの判断基準が「ブラックボックス」になる懸念が指摘されている。企業の採用などで特定の性別や思想・信条を持った人物が差別を受ける可能性もある。

例えば「A社の30歳未満の若手社員には独身の日本人男性が多い」というデータと「A社の若手社員は優秀だ」という判断だけでAIが採用する人物を選ぶ場合だ。「独身の日本人男性」以外の属性を持つ人物は採用されにくくなる。

政府が7原則を示したことで、民間もAI事業の方向性を定めやすくなる。NECの若目田光生デジタルトラスト推進本部主席主幹は「企業がAI原則を具体的なプロセスに落とし込むことが重要だ。産業界でもアジェンダをつくり、個別の活動に適用するのが望ましい」と話す。

AIの開発をめぐっては、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と呼ばれる米巨大企業が圧倒的にリードしている。無料の検索サービスや交流サイト(SNS)、ネット通販での購買を通じて、個人の属性や嗜好のデータを大量に集め、細かく分析して活用してきた。

GAFAを追い上げる形で中国はBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)と呼ばれる企業が同様のサービスを拡大している。中国はBATを経由して事実上、国家がデータを管理しており、米国は華為技術(ファーウェイ)などの中国製通信機器を通じた機密情報の漏洩リスクも指摘している。

日本はこうしたサービスで米中の巨大企業に先行を許してきた。その結果、AIに必要なデータの収集も深層学習の技術力も米中に出遅れてきた。ただ、欧州連合(EU)や米国では、個人情報保護などを重視して国際的なルールづくりを模索する動きが出ている。

市場の競争環境が変われば、米中の巨大企業が独走する構図が変わる可能性もある。日本政府が今回まとめた7原則はプライバシーやセキュリティーなどを前面に掲げており、欧米などとのルールづくりの土台になると考えている。

基本的人権や法の支配などの価値を共有するEU諸国などを中心に、主要7カ国(G7)首脳会議やG20などの国際会議でルールづくりを働き掛けていく方針だ。

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