ホンダ新型インサイト、あえてセダンでプリウスと勝負

2018/12/13 16:23
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ホンダは13日、ハイブリッド車(HV)「インサイト」を14日から国内で4年ぶりに発売すると発表した。インサイトは1999年の初代から今回で3代目。前モデルまでのハッチバックではなくセダンとしてデザインなどの上質感を打ち出し、主に中高年層を開拓する。ライバルのトヨタ自動車「プリウス」とは違う土俵で勝負する。

新型ハイブリッド車「インサイト」を発表するホンダの寺谷公良執行役員(13日午後、東京都港区)

「HVが定着して多様化する現在だから、走りやデザインをHV専用車で追求したい」。13日に東京都内で開かれた発表会で、日本本部長の寺谷公良執行役員はインサイトを4年ぶりに復活させる意義を強調した。

インサイトはホンダにとって特別な車だ。99年発売の初代はプリウス(97年発売)と共にHVの草分けとなった。09年発売の2代目は189万円からという画期的な価格を設定した。3代目プリウスの攻勢に苦しんで14年に販売終了を迎えたものの、HVの普及で果たした役割は大きい。

新型インサイトはホンダにとって、国内で6つ目のセダンとなる。日本でセダン市場は縮小する中でなぜか。

現在、登録車(排気量660cc超)の乗用車販売でHV比率は4割近くを占める。もうHVだけで買ってくれる時代ではない。そこで燃費や走りといった面を重視したら「結果的にセダンという形にたどり着いた」と寺谷本部長は説明する。

セダンユーザーに向けて外観や内外装のデザインにこだわった。HVシステムではレアアース(希土類)を使用しない磁石によるモーターを新たに採用。標準装備する安全運転支援システム「ホンダセンシング」では歩行者などを検知しやすいようにレーダーの位置を工夫した。ドライバーが眠くなると音や振動で注意を促す別の安全機能もつけている。

ただしインサイトと名乗る以上、プリウスとの比較は避けられない。新型の販売価格は最廉価でも326万1600円からと、現行プリウス(242万9018円から)よりも大幅に高い。燃費性能もインサイトは1リットル辺り34.2キロメートル(JC08モード)で最高40.8キロメートルのプリウスを下回る。月間販売目標も月1000台と、発売から3年たっても月1万台弱を販売する現行プリウスに比べて保守的な印象は否めない。

ただ、ホンダは車名こそ「インサイト」だが、全く別のコンセプトの新車と位置づけている。寺谷本部長も「対プリウスという観点は全くない。顧客を取り合うことも想定していない」と話す。

自動車業界では自動運転やライドシェア(相乗り)といったサービスの進展で、競争軸がIT(情報技術)大手などの異業種を含めたものに変わった。「対トヨタ」の意識は、かつてより薄れているかもしれない。

成熟化した国内マーケットでの販売で、ホンダはどう成長への道筋を描くのか。「昔の名前」の復活を話題にするだけでなく、消費者に新たな価値観を提供できるかという点でも今回のインサイトの動向が注目される。

(古川慶一)

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