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ヤマト、「鬼門」海外、物流受託で反攻

ヤマトホールディングス(HD)グループは海外で物流受託を広げる。日本企業を対象にし、原材料・部品の調達、在庫管理、輸出入をはじめとする業務を引き受ける。米中貿易摩擦でサプライチェーン(輸送網)の再構築を迫られる懸念があり、専門性が高いノウハウを生かしたサービスを提案する。中堅企業の約500社に売り込み、海外ビジネス拡大につなげる。

ヤマトグローバルロジスティクスジャパン(YGL、東京・中央)が製造業を中心に提案していく。「常駐型BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)」と呼ぶ仕組み。大企業であれば物流部門が担当するような業務を肩代わりする。中堅企業の海外進出を含めて支える。

顧客企業の生産現場に入り込む(ASBインド工場でのピッキング作業)

生産に必要になる調達、在庫管理、出荷、販売先への納入、輸送手配までを請け負う。船越宰取締役常務執行役員は「サプライチェーン全体を最適化する」と説明する。

ペットボトル成形機メーカー、日精エー・エス・ビー機械(ASB)がインドで抱える工場でこのほど本格導入した。これまでも輸送手配、大型機械の梱包、輸出入などを引き受けたが、物流業務そのものを一括受託した。さらに、製造プロセスに踏み込み、サプライチェーンを効率的に見直していく。

日精エー・エス・ビー機械(ASB)側のメリットは大きい。バックオフィス業務をYGLに任せられて、製品開発、製造、マーケティングなどに人材はじめ経営資源を集中できる。今後は在庫管理システムを駆使するなど「デジタルトランスフォーメーション(変革)」を進める。

一般的に倉庫管理などを受ける「3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)」が浸透する。YGLは、常駐型BPOで高度な領域まで広げて手がけて、顧客獲得を狙う考えだ。

YGLは中堅企業、500社程度をターゲットにする。すでに3PLや国際貨物輸送の手配などで取引実績がある企業が多い。国内では7月から一部で常駐型BPOを始めており、今後は海外で、電機や機械、電子部品メーカーなどに営業をかける。

海外物流では、実務の習熟を求められるプロセスがある。例えば、国・地域で違う関税に関する作業もそのひとつ。そうした面も、常駐型BPOを提案しやすい背景にある。製品を作っても「どこを経由地にして輸出入したら関税を低減できるか」(船越取締役常務執行役員)といったノウハウを示して、受託元である企業の収益改善を後押しする

もっとも、ヤマトHDにとって海外は"鬼門"。国内では宅急便で圧倒的な強さを誇るものの、売上高のほとんどを国内に依存する。2017年度の海外売上高は280億円で、全体の1.8%にとどまる。宅急便でアジアを中心に攻めるものの力強さに欠ける。

YGLが進める戦略は今、好機をとらえている。米中貿易摩擦による影響は見えづらく長期化も予想されている。製造業では中国からの生産移管はじめサプライチェーンを再構築する動きがある。こうした追い風にうまく乗れれば、海外事業を一気に加速できるはずだ。(武田敏英)

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