2019年1月24日(木)

ライチョウ繁殖のカギは「腸内」、相次ぐ死防げるか

2018/12/13 11:27
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国の特別天然記念物で絶滅危惧種「ニホンライチョウ」の飼育下での繁殖で、国内の研究機関が悪戦苦闘している。今年の繁殖期に誕生したひなは12羽で、うち5羽が10月末までに死んだ。試行錯誤が続く中、ひなの腸内環境を整えることで病気にかかるリスクを減らし、死ぬ率を抑えられるとの研究結果を中部大(愛知県春日井市)が発表。病気予防の新たな手法として注目されている。

ニホンライチョウが本来持つ腸内細菌が病気予防に働く可能性も(富山県で観察された野生種)=共同

環境省は2015年、ライチョウの保護増殖を目指し、北アルプスで採集した野生の卵をもとに協力施設での飼育を開始。現在も上野動物園(東京)など5施設で飼育しているが、ふ化直後にひなが死ぬケースが相次いでおり、飼育技術の確立には至っていない。

中部大の研究はニホンライチョウの近縁亜種のスバールバルライチョウで実施。7月、横浜市繁殖センターでふ化したひなを2つのグループに分け、一方には病気予防のため抗菌薬を投与した。

もう一方には野生のニホンライチョウのふんから分離した乳酸菌などの腸内細菌と、野生種が食べる高山植物に含まれるタンニンを餌に混ぜて与えた。その結果、抗菌薬を投与したグループは感染症などで6割強が死んだが、もう一方のグループの死は2割にとどまったという。

研究を主導した牛田一成教授(動物生態学)によると、病気予防を目的に広く使われている抗菌薬は、投与を続けると薬剤耐性菌の発生を引き起こし、腸内細菌の自然な発達を阻害する。一方、野生のひなはふ化直後に母鳥のふんを食べ、母鳥の腸内細菌を受け継ぐとされる。

飼育下であっても、野生種のふんに含まれる乳酸菌や野生と同じ餌の成分を摂取すれば、本来持っている腸内細菌の発達を促し、病気のリスクを減らせる可能性がある。

牛田教授は「ライチョウは病気になってからの治療が難しいが、この手法は病気の予防に有効。研究を進めて死ぬ率の低下につなげたい」と話している。

〔共同〕

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