ベルトにグローブ… 平成の隠れたロングセラー小物

メディア向けの展示会には並ばないけれど、実はショップの片隅でひっそりベストセラー。そんな名作は、探せば結構あるもの。地味だけど滋味ある、隠れ良品にまつわる話。
■LLOYD FOOTWEAR/ロイド フットウエアの英国製ベルト
靴と同様の良心が宿るノーサンプトン・メイド
銀座店と共に平成を生きた名品
【ロングセラー歴】30年以上 【生産国】イギリス 【バリエ】2色

日本で初めて英国製オリジナル靴を作ったロイドフットウエアだが、ベルトは前身の「ロイドクロージング」時代から製作していたという。現在の旗艦店である銀座店が誕生したのは1991年。以来、靴のよき伴侶として平成を生き抜いた名品だ。こちらのブライドルレザーベルトは今年入荷したものだが、ノーサンプトン製、クラシックデザイン、良心価格は誕生当初から変わらない。"英国の良いモノを適正価格で"という、ロイドの魂が宿る逸品だ。 各1万584円(ロイドフットウエア銀座)
■MEROLA/メロラのチンギアーレグローブ
ビスポークテーラーが惚れ込んだ名品グローブ
ペコラ 銀座の冬定番
【ロングセラー歴】10年以上 【生産国】イタリア 【バリエ】2色

ペコラ 銀座といえば日本を代表するビスポークテーラーの一角として知られるが、実は小物のセレクトも実に趣味がいい。洋服を仕立てる顧客向けに展開しているため数こそ多くないが、それゆえ利潤目的でない、本当に良いものだけを厳選している。メロラの手袋もそのひとつ。しかもこちらは珍しいチンギアーレ(イノシシの仲間)レザー。しなやかで手にぴったりと吸い付くようなフィット感は、一度試すとクセになるはずだ。ライニングはカシミア。 2万7778円(ペコラ 銀座)
■GRAZIINA/グラッツィーナのハンカチ
チーフ的にも使える"いい値!"なハンカチ
ドレスコーナーの隠れヒット作
【ロングセラー歴】約10年 【生産国】イタリア 【バリエ】60種以上

ビームスのドレスコーナーを訪ねると、膨大な数のハンカチがラインナップされていることにちょっとした驚きを覚えるはず。聞けば最近、チーフ的な用途でも使えるようバリエーションを拡大しているそうだ。端の処理はミシンゆえドレッシーなスーツには不向きだが、カジュアルなジャケットの胸元をさらりと飾るには好適。しかも全て1000円台だ。これなら、柄で冒険してみるのもアリだろう。 各1200円(ビームスF) ジャケット19万8000円/カルーゾ(シップス 銀座店)
■PANTHERELLA/パンセレラのアーガイルソックス
コンサバ紳士たちのプレミアム・スタンダード
各セレクトショップの足元定番
【ロングセラー歴】約20年 【生産国】イギリス 【バリエ】9色
靴下は消耗品だけに、お気に入りの定番がいつでも手に入るのは心強いものだが、無地はまだしも柄モノはそういったロングセラーが少ないのが実情。そんな中、コンサバ派の足元を彩る大定番として愛され続けるのがパンセレラのアーガイルソックスだ。耐久性と肌触りを両立するため糸の紡績から独自仕様にこだわったスーパーファインメリノウール製で、つま先はハンドリンキングで縫製。英国ソックスの代名詞として紳士の足元を支え続けるマスターピースだ。 各3400円(真下商事)

■LOUIS FAGLIN/ルイ ファグランのクロワゼカットカフリンクス
100年以上の歴史が醸すパリの気品が薫る
ドレス系ショップ各社の常備品
【ロングセラー歴】約15年 【生産国】フランス 【バリエ】3色

セレクトショップや百貨店のビジネス小物コーナーを見ると、必ずといっていいほど見かけるのがルイ ファグラン。ダイヤモンド状の細かなカッティングを施した「クロワゼ」柄カフリンクスは中でもベストセラー。シンプルながらパリの気品に満ちた佇まいは、日常から礼装まで広くカバーしてくれる。 1万2000円(ピュアリーニュ)
■BRILLA PER IL GUSTO/ブリッラ ペル イル グストのリーディンググラス
これならむしろ老眼もチャーミング
ビームス ドレス系店舗で密かにヒット
【ロングセラー歴】約6年 【生産国】台湾 【バリエ】10種

老眼鏡にネガティブなイメージを持つ大人向けに、"極力普通のメガネに見える"ことをテーマに作られたのがこちら。これなら抵抗がないと評判上々だそうだ。こちらは昨年加わった旬のボスリントン型。日々ボヤけてくる手元を"気のせいだ"とヤセ我慢している方、是非お試しを。 4000円〈ケース付き〉(ビームスF)
■J.M. WESTON/ジェイエムウエストンのベルト
あの名靴と完璧なマッチング
青山店誕生当初からの長寿アイテム
【ロングセラー歴】約25年 【生産国】フランス 【バリエ】9色

最高級で知られるジェイエムウエストンのボックスカーフは、靴だけでなくベルトにも採用されている。継ぎ目のない一枚革のため、ごく限られた量しか生産できない希少品だ。むろん靴との相性は完璧。靴だけでは飽き足らないファンを中心に昔から静かな人気だ。 ベルト各7万円、靴10万円(以上ジェイエムウエストン 青山店)
■RUTHERFORDS/ラザフォードのレザークラッチ
英国愛が蘇らせた古き良きブライドル鞄
ユニオンワークスの平成傑作
【ロングセラー歴】約7年 【生産国】イギリス 【バリエ】6色

ユニオンワークス代表・中川氏は生粋の英国好き。シューリペア界のカリスマとなった氏が次に着手したのが、古き良き英国鞄の復活だった。'90年代に廃業した名門工房の設備一式を購入し、英国ラザフォード社にて再稼働。当時の趣を見事蘇らせた。武骨なブライドルレザーが雰囲気満点だ。 4万3200円(ユニオンワークス 青山店)
■E.MARINELLA NAPOLI/マリネッラ ナポリのメガネケース
タイと同じシルク地だから胸元に挿してもエレガント
専門店誕生時からの人気作
【ロングセラー歴】約10年 【生産国】イタリア 【バリエ】約10色(入荷状況により変動)

マリネッラの代名詞であるプリントシルクを使ったメガネケースは、胸ポケに挿してアクセサリー使いできるというアイデアが秀逸。日本の専門店誕生時から入荷→完売を繰り返す人気作だ。 各9000円(マリネッラ ナポリ 丸の内) スーツ18万円/ルイジ ボレッリ(バインド ピーアール) サングラス〈スタイリスト私物〉
■MANSAW/万双の二つ折り財布
通常の4倍もの革を使ったフルレザー仕立て
アメ横が誇るベストセラー
【ロングセラー歴】約15年 【生産国】日本 【バリエ】 6色

上野・アメ横の一角で営む万双の名は、革モノ好きなら一度は聞いたことがあるはず。こちらの二つ折り財布は費用対効果にも大変優れた名品だ。表は堅牢なブライドルレザー、内側は上質なヌメ革を用い総革で仕立てた当作は、普通の財布の4倍もの革を使っているという。素朴ながら実に贅沢な逸品だ。 各1万7000円(万双)
※表示価格は税抜きです。
撮影/若林武志〈静物〉、彦坂栄治(まきうらオフィス)〈人物〉、武蔵俊介〈静物〉、久保田彩子〈静物〉、長尾真志〈取材〉、恩田拓治〈取材〉、荒金篤史〈取材〉、手塚 優(BOIL)〈取材〉、村上 健〈取材〉 スタイリング/武内雅英(CODE) ヘアメイク/松本 順(辻事務所) 構成・文/小曽根広光、伊澤一臣 文/吉田 巌(十万馬力)、秦 大輔、安岡将文、川瀬拓郎 イラスト/綿谷 寛 撮影協力/GOOD MORNING CAFE虎ノ門、EASE
[MEN'S EX 2019年1月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
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