東芝、AIで工場の異常検知 インフラ点検効率化
東芝は工場の設備にあるセンサーなどで測定した正常値のデータから、人工知能(AI)で異常を検知する技術を開発した。異常値のデータをAIに学習させなくても波形データから正常か異常かを見分けられる。工場などインフラの異常検知システムとして、実用化を目指す。
工場では様々なセンサーを使って温度や圧力などを測定し、設備が正常に稼働しているかを確認している。正常値と異常値の見極めではこれまで両方のデータをAIに入力し、それぞれの特徴を学ばせる必要があった。ただ工場の設備などでは正常値のデータに比べて、異常値のデータが圧倒的に少ないことも多く、AIによる検知精度が上がらない要因だった。
東芝はAIに正常値の波形データだけを入力し、その特徴を決めるよう設定した。正常値の波形の特徴が表れないデータを異常値のデータとして認識することで、異常値のデータをAIに学ばせなくても、正常か異常かを分類できるようになった。
異常値のデータが正常値の100分の1しかない11種類のデータで、精度を確かめた。従来手法と比べて検知の精度が平均で9%高かった。
新手法では主流となっている深層学習(ディープラーニング)は使わず、既存の機械学習を用いた。これにより、AIが異常値と判断した根拠を提示できた。判断根拠を示せない深層学習を用いた手法よりも、工場などの社会インフラには使いやすい技術として、グループ会社への導入を目指すほか、他社への外販することも検討する。
成果はビッグデータに関するトップ会議で米国で開催した米国電気電子学会(IEEE)の国際会議で発表した。
関連キーワード