2019年8月25日(日)

米中対立の先行き、識者に聞く

2018/12/12 20:36
保存
共有
印刷
その他

米政府の依頼を受けたカナダ当局が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕する一方、中国側もカナダの元外交官を拘束した。米中対立の先行きはどうなるか。識者に聞いた。

■ 宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

米中対立の本質は貿易紛争ではなく、ハイテクを巡る覇権争いだ。対立はさらに激化し、10~20年間続くのではないか。中国が軍備拡大、違法な情報活動や経済システムを変えない限り、対立は解決できないだろう。

ファーウェイや中興通訊(ZTE)を通じた情報漏洩の疑いは、10年ほど前から米国の当局などから指摘されていた。ファーウェイ幹部の逮捕は来るべき時が来たという印象だ。安全保障への脅威があり、日米欧などの国際社会が中国に不正を正すようメッセージを送っている。

カナダは米英、オーストラリア、ニュージーランドとともに、盗聴情報などを共有する協定であるファイブアイズ(UKUSA協定)を結んでいる。カナダは米中対立に巻き込まれたのではなく、共通の利益を巡って協力しただけだ。

中国によるカナダの元外交官の拘束は典型的な中国の報復パターンだ。沖縄県の尖閣諸島を巡り(10年に海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突した事件で)中国当局は日本人を拘束したことがある。中国は絶対に譲歩をしない。

■ 朱建栄・東洋学園大教授(国際政治)

東洋学園大の朱建栄教授

東洋学園大の朱建栄教授

ファーウェイを巡る問題が浮上した後も、再度の米中首脳会談を調整する動きに変化はみられない。中国は現在のような発展が継続すれば10年以内に経済力で米国に追いつくと考えており、最優先するのは発展を可能にする平和の維持だからだ。台湾や南シナ海を巡る軍事的緊張を伴う新冷戦に突入するのは避けたい。

中国からみると、トランプ米大統領と主流派の対中要求にはズレがあり、トランプ氏の方がくみしやすい。対米貿易黒字削減のための米製品購入や関税引き下げ、知財や国有企業を巡る国内改革には痛みや混乱が伴うが、受け入れられなくはない。一方、主流派は中国に長期的発展をもたらす先端技術分野で追い上げられること自体を阻止したいので折り合えない。

今回、ファーウェイが標的になったのは、同社が次世代通信「5G」の技術で米国を半歩リードしているためだ。貿易問題では妥協が可能でも、次世代の技術覇権を巡る争いの方がより根深く、米国は今後も次々と中国に揺さぶりをかける可能性が高い。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。