ファーウェイ幹部逮捕で中国が報復? 観測浮上

2018/12/12 7:47
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【北京=永井央紀】中国によるカナダ元外交官の拘束は、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)幹部がカナダで逮捕されたことへの報復措置との見方が浮上している。過去にも外交問題を抱えた相手国民を中国当局が拘束したケースがあるためだ。

中国はカナダが米国の要請に基づいてファーウェイの孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕したことに猛反発している。王毅国務委員兼外相は11日の講演で「中国国民の正当な権利を侵害するいじめを決して座視しない。全力で中国国民の合法な権利を守る」と強調した。

さらに中国外務省の陸慷報道局長はカナダが孟氏を拘束した際、領事協定に違反して中国側に直ちに連絡しなかったとも主張。中国が第一報に接したのは「別ルートだった」としてカナダの対応に不快感を示した。

中国外務省は8~9日にカナダと米国の駐中国大使をそれぞれ呼び出して抗議した。米国に対しては「米国の行動を見極めたうえでさらなる対応を取る」と出方を見極める構えを見せた一方、カナダには「釈放しなければ重大な事態を招く。その全ての責任はカナダが負う」と強く警告した。北京の外交筋で「カナダ人が拘束されてもおかしくない状況だ」と危惧する声が出ていた直後、カナダ元外交官の拘束が明らかになった。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は12日、中国がカナダの元外交官を拘束したことについて、カナダのマルロニー元駐中国大使が中国による報復措置と分析していると伝えた。

マルロニー氏は「邪推はしたくないが、歴史をみれば(報復だと)懸念するだけの理由がある」と説明。2014年にカナダが今回と同様に米国の要請に基づいて中国人を逮捕した1カ月後、中国で暮らしていたカナダ人夫妻がスパイ活動の疑いで拘束された事件を先例として挙げた。

カナダ人の安全への懸念が広まった背景には、10年に沖縄県・尖閣諸島近海で海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突した事件がある。日本に逮捕された中国人船長の勾留が長引くなか、中国当局は河北省にいた4人の日本人会社員を唐突に拘束した。軍事管理区域内を無許可で撮影したとの理由だった。

この4人が解放されたのは漁船の船長が釈放された後。しかも最後の1人が自由を得たのは、ちょうど船長の勾留と同じ日数が経過した日だった。漁船衝突との関係は明らかになっていないが、船長勾留への報復措置とみなされた。今回のカナダ人も拘束された直接の理由は別にあるとしても、背景にはファーウェイ問題があるとの見方が広がっている。

中国共産党は米国に対しては「新たな貿易交渉を控え、真正面から対抗するのは避けたい」(中国外交関係者)のが本音だ。それに対して、カナダにそこまで遠慮する必要性は見当たらない。カナダに最大限の圧力をかけ、米国への引き渡しを防ごうとしているとの分析が報復説を後押しする。

ファーウェイなどを政府調達から事実上排除する方針を決めた日本に影響が及ぶ可能性があるとの懸念も出始めている。

中国の裁判所は7日と10日、15年にスパイ活動に関わったとして中国当局に相次いで拘束された日本人2人に対し、それぞれ懲役6年と12年の実刑判決を言い渡した。拘束から3年以上が経過したこの時期に立て続けに厳しい判決が出たのは「日本に対する間接的な圧力ではないか」との不安が広がりつつある。

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