「今年の人」にカショギ氏ら記者4人 米タイム誌選出
【ニューヨーク=平野麻理子】米タイム誌は11日、毎年恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に、トルコのサウジアラビア総領事館内で殺害された著名記者ジャマル・カショギ氏ら4人のジャーナリストと、米東部メリーランド州の新聞社を選んだと発表した。迫害や暴力を受けながらも、真実を追究したジャーナリストを「ガーディアンズ(監視者)」と評した。

サウジ人のカショギ氏は生前、政府に批判的な記事を多く執筆。10月に起きた殺害事件には、サウジのムハンマド皇太子の関与が疑われている。タイムによると、亡くなった人が選出されるのは初めて。

カショギ氏のほかには、フィリピンのドゥテルテ政権を批判してきたニュースサイト「ラップラー」を運営するマリア・レッサ氏と、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題を取材し、国家機密法違反で禁錮7年を言い渡されたロイター通信の記者2人も選ばれた。
米メリーランド州の新聞社「キャピタル・ガゼット」では今年6月に銃撃事件が発生し、編集者ら5人が死亡した。タイム誌のエドワード・フェルセンタル編集長は11日朝、出演したテレビ番組で「今年の候補者を見た時に、ロシアからリヤド、シリコンバレーに至るまで、真実の操作と悪用という共通の文脈があることは明らかだ」と指摘した。